小説 男岩鬼になりたくて7
5年連続夏の甲子園出場はこのとき途切れた。3年生の先輩たちは泣きじゃくっていた。高校野球でよく見る光景だ。負けたチームの選手がグラウンドにうずくまり、顔が汗と土と涙でグチャグチャになる。人目も憚らず感情を思い切り出せるのは、人生でも数えるくらいだろう。この瞬間は感情を爆発しても許され、そして精一杯戦った者の涙は美談として語られる。お涙頂戴に弱い日本人の最も好む光景なんだろうけど、これが美しい場面? あれがか!?
ベンチ前で大袈裟に泣く先輩たちを見ていたら、ああはなりたくない