![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/12416334/rectangle_large_type_2_93b16470cdcbb37862cc268c828c622f.jpeg?width=1200)
自立とは依存であり、依存とは自立である
プライベートでも仕事でも誰かの相談に乗ることが多いのだが、乗る度に「自立」と「依存」のバランスの難しさを痛感する。
moriyamaさんのnote「自立するということ」を読んでたいへん勉強になったので、今日はこの「自立」と「依存」について、改めて考えてみたい。
自立と依存は対極にある?
moriyamaさんもnoteで"一般に、自立の反対は依存だと考えられがちである。"と書いている。自立している人は依存していない人であり、依存している人は自立していない人、ということだ。
私は、現代社会があまりに自立を急かし、自立の状態にのみ重きを置いているのではないかと思う。
そして、そのような風潮のなかで形づくられた「自立」は、果たして本質的な自立なのだろうかと、問いかけたい気持ちが生じてくる。
moriyamaさんのnoteより
大学に入学してすぐ、キャリアデザインの講義があった。
将来の生活にかかるお金を試算したり、業界研究したり、卒業までのスキル・資格取得の計画を立てたり。学問を学ぶためではなく、社会で役立つ人材になるための講義に、ただただ違和感があった。
今思うと、当時のあの違和感は、自立を急かされていること、自立の状態にのみ重きを置かれていたことに対しての感情だったのかもしれない。
自立と依存は、お隣同士かもしれない
自立と依存は反対側に位置しているという考えがある一方で、“(自立と依存という)両者にはつながりがあり、「支え合っている」のではないか”という考えもある。
自立はあくまで依存のうえに成り立つものであり、十分な依存がされた後に自立が可能になる、という考え方だ。
誰もがみな、一人で生きていくことはできない。
他者や環境に支えられて毎日を生きていける。
「依存」がない日は一日としてないと思う。
moriyamaさんのnoteより
例えば食事だけを見ても、食材を生産する人、わたしたちのところまで運ぶ人、品質を管理する人、販売する人などなど、たくさんの人の存在・活動に支えれている。
これは「依存」と言うのではないだろうか。そして、たくさんの選択肢の中から適切な依存先を選択し、自らの生活を成り立たせることが「自立」と言うのではないだろうか。
*
わたし自身は、依存と自立はお隣同士だと思っている。
自立とは依存先を増やすことであり、依存とは自立を支える力をつけることだ。
依存のない自立は脆い。
月並みな言葉だけれど、やっぱりわたしたちは「自分ひとりでは生きていけない」のだと思う。
大切なのは、依存を自覚し、感謝すること
私たちは「自分だけの力で」なんとかしようとこころを擦り減らしがちであるし、自立を意識するあまり「周囲に支えられていること」に目を向けられない。
目を向けられなければ、感謝することも叶わない。
「依存」や「感謝」を遠ざけて得た「自立」は、不安定で、寂しく、虚しいものとなるのではないかと思う。
moriyamaさんのnoteより
良い表現だと思う。
どうせひとりでは生きていけないのだから、せめて支えられていることに感謝したい。
「なんでも自分でできないといけない」「人に迷惑をかけてはいけない」と肩肘を張る必要はないから。
誰かを頼ったり、誰かに支えてもらったりしながら、その誰かに感謝して、これからも生きていきたい。
*
「依存と自立」というテーマで考えている時、熊谷晋一郎さんのインタビュー記事を思い出した。熊谷さんは新生児仮死の後遺症で脳性まひとなり、車いす生活となった。子どもの頃には厳しいリハビリに取り組んだのだが、高校生になる頃にはストレッチ程度で、リハビリに通うのもやめたのだそうだ。
健常者は何にも頼らずに自立していて、障害者はいろいろなものに頼らないと生きていけない人だと勘違いされている。けれども真実は逆で、健常者はさまざまなものに依存できていて、障害者は限られたものにしか依存できていない。依存先を増やして、一つひとつへの依存度を浅くすると、何にも依存してないかのように錯覚できます。“健常者である”というのはまさにそういうことなのです。
東京都人権啓発センター|自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うことより抜粋
“一つひとつへの依存度を浅くすると、何にも依存してないかのように錯覚”できる。自立の根本は、ここにあると思う。
熊谷さんはインタビューの中で“実は膨大なものに依存しているのに、「私は何にも依存していない」と感じられる状態こそが、“自立”といわれる状態なのだろう”とおっしゃっていた。
でもわたしは、自立への第一歩は、「私は膨大なものに依存している」と自覚することではないのかな、と思う。
どちらにせよ、奢らず、卑屈にならず、素直に感謝しながら、生きていきたい。
*
大好きな企画「私のお気に入り #cotree_advent_note 」に寄せて。
cotree advent note はどれもすてき。
どれもすてきだから全部紹介しようと決めた、
#takaren_advent_note 15日目。
いいなと思ったら応援しよう!
![たかれん](https://assets.st-note.com/poc-image/manual/preset_user_image/production/ic3fd94079689.jpg?width=600&crop=1:1,smart)