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キジの卵

知り合いから頂いたキジの卵
「近くの道の駅で売ってるのよ〜」と
透明の容器に籾殻が敷かれ
その上に可愛らしく5〜6個並べられたキジの卵
一緒に居た知り合いもキジの卵を貰い
「どうやって食べたら美味しいかしら?」と楽しそうに話していた
私はその楽しそうな会話に入れずにいた
鳥好きの父の大好物に違いないと危惧していたからだ
この卵はきっと私は食べることはできないだろう
食べたくても食べられない運命
みんなはSNSに調理された美味しそうな写真を投稿するだろう
頂いた物はSNSに載せる
それがマナー的な空気があった
せっかくいただいたのに
美味しかった的な投稿はできない…
そんなことばかり考えながら帰宅し
速攻で鳥好きの父に卵は見つかった
「それ何の卵や?」と
卵だけにランランとした目で聞いてきた
やだなぁーやだなぁ〜と思いながら
「キジの卵…」と聞こえるか聞こえないか消え入りそうな声で答えた
しかし、しっかり聞こえてた卵好きの父
「有精卵やろか?チャボに温めさそっ!ちょ〜ど温めよるチャボがおるったい♪」と
キジの卵を鶏小屋へ持って行ってしまった
無精卵だと食べる事なく腐るだけ
有精卵であれば24〜25日後雛が生まれるけども25日後なんて
誰もキジの卵のことなんか忘れてるだろう
うちはこんな家なんだ
卵をくれた知り合いからもし「どうだった?」と聞かれたら
仕方ない、正直に「食べてません。チャボが温めてます」と言うしかない
恥ずかしくてたまらなかった

24〜25日後
めでたく雛が1羽産まれた
SNSで卵の味ではなく
雛誕生の投稿をする人などいないだろう
卵をくれた知り合いには
雛誕生を報告した
予想外に頂いた卵みんな孵化した
しかし、ピヨピヨの雛は次々と小屋の隙間から逃げて行き1羽しか残らなかった
その1羽は大きく育ったが
餌やりの時に毎回大騒ぎし
父が怯んだ隙に逃げていった
ぜんっぜん懐かなかった
父は卵を孵すことが出来た事に大満足で懐かず逃げて行ったキジに対して落ち込む事はなかった
逃げたキジなのかわからないが
近所でケーンケーンとキジがなく声が聞こえてくる事があったが
懐かなかっただけあって姿を見る事はなかった

父が言うには
キジは懐かない鳥らしい
ホントかよ
嘘かホントか?わからないが
みなさんもキジの卵が売ってあっても
孵さず卵として食べて下さい
孵っても懐きません(笑)

孵すのも食べるのも
大好きな男

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