「相互無償」という罠
相互無償とは文字通り「お互いにお金を支払うことなく取引をすること」です。
特に被写体やカメラマンをされている方は聞いた事があるのではないでしょうか。
そんな「相互無償」という言葉には、罠があると思います。
仮にあなたが通常の活動において1時間3,000円でカメラマンをしているとしましょう。
そこに同じく1時間3,000円で活動している被写体から「あなたの写真を見て撮って欲しいと思いました。相互無償でお願いします。」というメッセージが来ました。
その時あなたはどう思いますか?
大抵の方は「同じ金額で活動してるし相互無償ならいいのでは」や、仮に相手の方が高くても「無償で撮れるならラッキー」と思うかもしれません。
・・・無償で撮れるからラッキー?相互無償?
ビジネスとして考えてみましょう。
仮にこれが有償案件でも、被写体から発注を受けているため、そもそもカメラマン側が被写体に支払う必要はありません。なのでこれは、「本来お互いが支払うべきものを無償にしている」のでは無く、「被写体がカメラマンに支払うべきものを無償にしている」だけなのです。もっと言うと被写体側が「カメラマンが提示する金額が払えるほどお金がないから無償で撮って!」あるいは「このカメラマンにお金払う価値ない」「このカメラマンなら無償で撮ってくれそう」と思っている可能性があります。
逆も然りで被写体がカメラマンに持ちかけられた場合も同じです。無償を持ちかけられた側が持ちかけた側に払う必要はそもそもないですし、持ちかけた側が無償にして欲しいだけ。無償にするかどうかは持ちかけられた側に決定権があります。それで有償を選択して「有償ならいいです」と言われたら、明らかにそういう思惑なので関わらないようにしましょう。
元々相互無償で活動しているならまだしも、有償で活動している方に対して「相互無償でお願いします」というのはある種失礼な話です。カメラマンは技術を、被写体は肖像権を売っているのですから、そういったもに価値がないと言っているようなものです。
百歩譲って「相互無償」を受け入れたとしましょう。
あなたは被写体の写真を撮りますがお金を受け取ることはできません。そこであなたは法の場でも使えるようにと撮影の記録として動画の撮影をさせて頂けないかと許可を得ようとします。
その時、被写体から「動画の撮影なら○○円になります」と言われたらどうでしょう。(いや、動画撮るってそういうことやないねん。)
本来ならお金を頂くものを、被写体が無償で撮ってくださいと言って受け入れたのにも関わらず、あなたがした提案にはお金が発生すると言うのです。
逆も然りで、本来ならお金を頂くものを、カメラマンが無償で撮らせてくださいと言う申し出を受け入れたにも関わらず、あなたの要望に対して「そうして欲しいなら○○円です」と言う状況です。
こう言った不利な状況にならないために
・なぜあなたに撮ってもらいたいのか(あなたを撮りたいのか)
・なぜ相互無償を希望するのか
などしっかり確認した方がいいと思います。
また、この話は被写体やカメラマンなど写真業界に限った話では無いので、色々な業界に置き換えたり、個人事業をされている方、しようと思っている方はご自身に置き換えてみてもいいかもしれません。
長文で読みづらいところもあったかと思いますが
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ぜひ、自分はそうは思わない。や共感した!という方はコメントやいいね!をよろしくお願いします。
追記:そもそも「撮ってください。相互無償で」と言った被写体が「無償で撮らせてあげてる」スタンスなのはおかしい。