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18 現代貨幣理論(MMT)解説:政府財政の新たな理解とその展望

現代貨幣理論(Modern Monetary Theory, MMT)は、
貨幣の本質の説明から派生して、
国家の財政運営に関する一連までの考え方を提供しています。

主な主張の核心は、
自国通貨を発行する政府は、
その通貨での借金によって破綻することはないという点にあります。

つまり、政府は必要があれば新たに通貨を発行して、
自国通貨建ての債務を返済できるため、
伝統的な意味での「破綻」はあり得ないと考えます。

MMTは、政府が自国通貨を「刷る」ことによって返済が可能なため、
政府支出を無闇に抑制する必要はないと主張します。

しかし、
これは政府が財政を乱用することを
推奨しているわけではありません。

MMTによれば、
政府支出の実際の制約は、
インフレや経済の供給能力に
基づくものであるべきだとされています。

MMTから導き出される重要なポイントは以下の通りです:

  1. 政府支出の制約は財政収入ではなく、インフレや経済の供給能力である:政府は、自国通貨での借金で破綻することはないため、
    政府支出を無闇に抑制する必要はありません。
    しかし、供給能力を超えた過剰な支出はインフレを
    引き起こす可能性があります。

  2. 経済が停滞している場合、
    政府は財政赤字を通じて経済成長を促進できる

    経済がフルキャパシティに達していない場合、
    政府支出は経済活動を刺激し、失業を減少させることができます。

  3. 政府支出の上限はインフレによって決まる
    政府支出は、その国の経済が吸収できる
    限界まで拡大することができますが、
    その上限は過剰なインフレを引き起こさない範囲内であるべきです。

MMTは、政府が市場にお金を「注ぎ込む」だけではなく、
そのお金が実際に経済活動を促進する形で
使用されることを重視しています。

また、政府の借金は単純にゼロにすることが目的ではなく、
経済成長や国民の福祉向上に貢献する形で
管理されるべきであると提案しています。

MMTによると、
政府はデフレや不況に対抗するために
積極的に財政政策を用いるべきであり、
その際の主な制約はインフレのリスクに対するものです。

この理論は、政府支出と国民の福祉を
最大化するための新たな枠組みを提供し、
従来の財政規律の概念を再考することを促しています。

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