国債についての誤解:なぜ「国の借金」という主張は問題なのか?

国債に対する「国の借金」や「将来世代へのツケ」という表現をよく耳にしますが、こうした意見は本当に正しいのでしょうか?この記事では、国債に関する一般的な誤解を解消し、その真実について考えてみましょう。

国債の基本メカニズム

まず、銀行預金が存在しない世界を想像してみてください。

  1. 政府が1兆円の国債を発行し、日銀から同額の日本銀行券を調達します。

  2. 政府がこの1兆円を国民に支払い、経済に流通させます。

  3. その結果、国民の手元には1兆円の日本銀行券が残ります。

ここで、「国の借金」や「将来世代へのツケ」と騒ぐのは適切でしょうか?おそらくそうではありません。この1兆円は国民が保有するものであり、これを「借金」として過度に恐れるのは、冷静さを欠いた議論と言えるでしょう。

イングランド銀行の事例

歴史的に見ても、国債は財政運営において重要な役割を果たしてきました。例えば、元祖中央銀行であるイングランド銀行は、まさにこの目的のために設立されました。イングランド王国政府が国債を発行し、イングランド銀行がそれを引き受け、紙幣を発行する仕組みは、日本銀行と同様です。

ただし、国債には金利が存在します。しかし、日本国債の金利は世界最低水準であり、これが財政危機に直結するとは考えにくいのです。

日本の金利状況

日本の長期金利は他の主要国と比べても非常に低い水準にあります。また、日本銀行が保有する国債の金利は、支払われた後に再び国庫に戻る仕組みがあるため、実際の金利負担は非常に小さいのです。加えて、日本政府が保有する莫大な外貨準備(主に米国債)からの金利収入も考慮すると、ネットの利払費はさらに抑えられます。

2024年の参議院財政金融委員会では、日本のネットの利払費がGDP比でG7諸国の中でカナダに次いで2番目に低いことが確認されました。このデータからも、日本が財政破綻に陥るリスクは極めて低いと言えるでしょう。

財政破綻論者の主張にどう対処すべきか

それでも、財政破綻論を主張する人々は存在し続けます。しかし、彼らの主張は過去に何度も論破されており、新しい根拠に基づいたものではありません。こうした主張が広まる背景には、意図的に恐怖を煽ることで政策変更を促そうとする動きがあると考えられます。

私たちが目指すべきは、冷静で客観的な議論です。データに基づいた反論を行い、その情報を中立的な立場の人々に広めることが重要です。財政破綻論者に対して感情的にならず、むしろ彼らの主張を笑い飛ばし、正しい情報を広めることが、健全な財政議論の鍵となるでしょう。

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