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『愛について語るときにイケダの語ること』

 毎日たくさんのニュースを見ている。そうしたら気になる映画のタイトルが目に飛び込んできた。

『愛について語るときにイケダの語ること』

 なにしろ作品の説明文がすごい。気になる。

“池田英彦・40歳・四肢軟骨無形成症
スキルス性胃ガンステージ4・趣味:ハメ撮り
身長112センチの青年が人生最後の2年間を凝縮した
初主演・初監督作にして遺作!”

だよ!奥さん!

 私はこういう映画とか漫画は好きな方で、よく見たり書評的なのものを書いたりする方だ。で、早速見せてもらうことにした。
 この説明文通りであれば、主人公は死んでいる。まあ当たり前だ。ノンフィクションなんだから。

 イケダは自分が小人症であることのコンプレックスから自分が恋愛に関して及び腰であることを知っている。そのまま40歳の風俗大好きおっさんになっていたら運悪く末期癌になってしまったという、まあ悲惨な人生の物語。
 この映画を撮らなかったら、周りの人たちに「運が悪かったけど、一生懸命生きた立派な人生だった」とか言われて誰にも知られずひっそりと消えていったに違いない。
 もちろん私がこんな原稿を書くこともなかっただろう。

 でも彼は友人の映画関係者を通じて自分の醜さも含めたありのままを映像に収め、世に広くばら撒くことを選んだ。コンプレックスからくる葛藤が末期癌の苦しみと共に押し寄せてくるが、不思議と不快にはならない。
 普通にベッドに寝ていると、イケダは四肢が見えないので普通のイケメン風だ。言ってはなんだけど、こういう人が好きなタイプはそれなりにいるはずだ。だから、彼は身体の不自由はあったにせよ、普通の人並みの恋愛や幸せ的なのは享受できたんじゃないかと思う。

 普段、我々が絶対に目にすることのない世界のオンパレードではあるけれど、虚実も入り混じりながら撮影されたドキュメンタリーで、人間を丸裸にしていく感じがグッとくる映画だったと思うので、機会があったら是非見てほしいと思う。
▼『愛について語るときにイケダの語ること』
https://ikedakataru.movie/

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