たかぴー

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エッセイ「墓場定食」

食卓に着いた。 空気にチリが浮いてるのがよく見えるほど、光がまぶしい。 テーブルの対面に座ったもう一人の僕。 僕の目の前には大きなどんぶりがあるが、もう一人の僕の前にはナイフとフォークだけが置いてある。 僕はもう一人の僕に、言葉を、気持ちを吐いた。 ともに暮らした血縁者がスキになれない。 教室を共にした12年のあいだの人々がスキになれない。 互いの夢を共有しあった大切なあいつらもスキになれない。 性を交わし愛し合った人々もスキになれない。 だからお皿の端に、

    • キタイ

      突然ガスみたいななにかが、ふと目の前に現れた 現れたと云うより、ずっと前から此処に其れは居た 居たには居ただろうが、居た事を感知したのも数刻前だ まるで空気と云うものに人間は常に接触している、 そんな常識を認知していなかった未熟者、といったような状況だ 其のガスは何なのか、自分を如何しようと云うのか 色はなく、匂いも感じられず、掴むこともできない 勿論手に取ろうとしたが、もろ手は空を切るだけ 紙の破けた金魚掬い 曖昧で朧げな輪郭、しかしその存在感は計り知れな

      • dodoitsu~D.1 都都逸を知っていますか?~

        唐突に自分の好きなものを広く展開したくなりました。 皆さんは都都逸(どどいつ)というものを知っていますでしょうか? 現代の日本ではあまりにも名が知られていないものかと存じます。 私はその何たるかを詳しくは知らぬままに、この都都逸を好きになってしまったので、専門的な詳細を説明することはかないません。とにかく、好きなんです、とにかくね。今のところミステリアスな彼に恋している状態です。(私は男ですが) 都都逸(どどいつ)とは要するに詩、歌詞、曲という名目の、リズミカルな言葉

        • やすさのやすさ

          「しやすさ」がいっぱい コップはもう満ちている さらに淵から溢れている 「わかりやすさ」の化学調味料 求めていたあの味のレプリカ 糖度はのきなみ最高潮 欲しては蝕まれていく 安易に「手軽さ」飛びつくんだ 浴びて、浸かって、手を染める 手軽に「安易さ」抜け出せない 洗う足が増えすぎた 「やすさ」の中毒っぷり 「やばさ」の快楽っぷり 一種の麻薬にどっぷり 「やすさ」もずいぶん増えてきたね 友は棘なく付き合いやすく ものは怪我なく使いやすく 夢は苦

          顔出しなんてハードルでも壁でもないですよね?

          ある文献で、知名度と認知度は異なる指標との内容を拝見したが、前者の知名度を上げたい人というのは、ネット上で頻繁に見かける。(実際にお話しする人の多くも、有名になりたいという目標を掲げている割合は多い) ネット上で名を馳せたい(知名度を上げたい)という目標がある方は、今すぐ自分の顔写真を公表した方がいいと思う。 顔を晒して、その情報を頼りに本名や個人情報が他人により勝手に公開され、攻撃の的になってしまう。その結果、ありもしない批判を不特定多数の存在から受け、自分の目指してい

          顔出しなんてハードルでも壁でもないですよね?

          飽きる、をさせてくれない最近のゲーム

           最近のゲームというのは、どうやら「終わり」になかなか到達できないらしい。  最近はどんなゲームが出ているのかは、あまり詳しくないので、大それたことは言えないが、恐らくそういう工夫を作り手側が施しており、なるべく多くのプレイヤーが長い期間飽きずに遊べる設計をしているのだろう。一連のストーリーがあり、それがめでたく一度完結するが、その後に設定されてる高レベルな課題や要素の方が、実は本編よりもボリュームがある、というのが今は当たり前になっている。  また、そもそもストーリーが

          飽きる、をさせてくれない最近のゲーム

          あなたは東京にいるのに東京に生きていない

          東京には現在900万人以上の人が住んでいるらしい。 これは嘘っぱちだ。 その中で、いったい何人が東京で生きているというのか。 夜の10時、さっきまでまばらだった道路を走る車も、今はぜんぶ姿を消した。 僕の住んでいる町はそんな場所だ。 夜の散歩、ひとりで散歩、もう道には僕以外の人はいない。 11月はもう雪の季節。服を着てても足先まで凍りそう。 ふと歩みを止める。ふっと目をつむりたくなる。 靴と地面の摩擦を踏みしめ立ち止まり、いちばん近い呼吸の音を聞きながら、目を

          あなたは東京にいるのに東京に生きていない

          17才、初めての映像作品のフィルムは青い

          #文化祭の思い出 ハッシュタグ企画参加記事 note初投稿です。稚拙ながら文化祭の思い出を想うままに書きます。95%ノンフィクションです。 ★高校の文化祭で映像作品を作って公開する、というイベントは全国どこの高校でも割と見受けられるイベントだと思う(実際はどうかは知らない。涼宮ハル〇という有名なライトノベル作品ではそういうイベントが描かれていたため、恐らく存在はしていると推測)。  映像研究会などの専心的研究を日々重ねる集団が手がけた作品ならいざ知らず、普段カメラもろく

          17才、初めての映像作品のフィルムは青い