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婆ちゃんとの日々を思い出してます
僕は16才の高校2年生の5月。
学校に行かなくなりました。
いわゆる、『不登校』と言うやつです。
特にいじめも、なかったけど、自分の中で溜まったストレスが限界を迎えてました。
『朝、日の出と共に起き、日の下で暮らし、夜は夜更けと共に寝る』
そんな人間らしい生き方を求め
芦別の田舎に住む婆ちゃんの家に、何週間か寝泊まりしてました。
それが、婆ちゃんとの1回目の二人暮らしです。
婆ちゃんは、朝早く起きると、何処かに行ってしまいます。
そう、畑を趣味でやっていました。
当時のお年寄りはそんなものです。
家の横の空地と、歩いて10分くらい?のところにもうひとつ畑を作っては、取れた野菜を、母子家庭の僕の家に送ってくれてました。
届く度に母が本当に感謝して電話している姿を覚えています
僕はと言うと、週刊少年ジャンプを横に、漫画を模写して絵の練習しながら、うろついたりしてました。
当時、婆ちゃんの家には老いた犬『ジョン』がいました。
中型犬で、何かしらのもじゃもじゃした犬の雑種でした。
叔父が芦別から豊橋に転居するにあたり残していった犬です。
ジョンは放し飼いでした
玄関先に新聞紙を婆ちゃんが敷き、そこでジョンは寝泊まり。
朝早くにジョンも何処かにお出かけしてしまいます。
ジョンの為に少し開けられた玄関ドアから出掛けていきます。
自分で開けて行くんです。
婆ちゃんは、8:00前には畑仕事を終え、帰宅して朝ごはんの準備をします。
それにあわせて、ジョンがドアを開けて帰ってくる音がします。
ご飯とお味噌汁と、漬物、納豆。
小さなテーブルに正座して二人でテレビを見ながら食べました。
勿論ジョンにはご飯と残り物を味噌汁にインしたものを、鍋に入れて出します。
ご飯を食べ終わると、また、『カラカラ…』とドアを開けてジョンは出掛けていきます。
婆ちゃんはと言うと、近所の友達がお菓子を持って、おしゃべりに来ます。
聞き上手で余計なことを喋らない婆ちゃんは慕われて、長い時間話してたと思います。
お昼前にお友達は帰宅して、昼御飯。
食べた後、しばらくゆっくりした後、また婆ちゃんは何処かに出掛けていきます…
何処に行ってたのかな?また畑だったのかな?
ちょっとよく思い出せません。
夕方になる早めに戻ってきて、またご飯を作って
日のくれる頃に、ジョンも帰ってきて、玄関先でゴロリン。
中戸を開けると、人懐っこい顔で横になってこちらを見てます。
頭を撫でてから、またテレビを見ながらしてると
ご飯が出来て一緒に食べます。
ジョンも残り物とご飯を味噌汁にインした鍋。
ご飯を食べ、一緒にテレビを見て、歯を磨いて…
『もう遅いから寝なさい』
と言って、僕も奥の部屋に行き、絵を描いてから寝ました。
あの時期
婆ちゃんとこんな生活を一緒に出来たことは
かけがえのない、想い出です。
学校にも行かず、田舎に来た僕を
婆ちゃんは何も聞かずに、受け入れて世話してくれた。
静かな芦別の田舎の虫や草木の風に揺れる音
婆ちゃんの寝息…
ゴーンゴーン
と掛け時計の音が、鳴り響いていました
婆ちゃんの家の匂い、枕や布団の匂い…
一生忘れないです
やっぱり、僕は、幸せだったんだなぁ