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【おもひでぽろぽろ小学生編】あったかラーメン先生風味

「おもひでぽろぽろ小学生編」は、昭和生まれのおじさんが小学生だったころのショートエピソード。
なんてことはない話ではあるけれど、今では「ありえない」と思われるエピソードがあるかも。。

そう、昭和おじさんの思い出は、ある意味「異世界」。
そんな昭和おじさんワールドを楽しんでくれ。


罪と罰

ぼくが小学校5~6年のころには「罰(バツ)」というものが存在した。
いわゆるペナルティ。

ルール違反をすれば課せられる罰

今日忘れ物をしました。

漢字100文字の書き取りをしなさい。

by 小学生のオレ調べ

通常、これで終了なのだが、
ぼくの教室ではこの罰が、累進課税方式となっていた。


どういうことかと言うと、たとえば

昭和の教室の例

昨日忘れ物をしました。
今日も忘れ物をしました。

漢字100×2日=200文字の書き取りをしなさい。

明日も忘れ物をすると、300文字の書き取りGET。

by 小学生のオレ調べ

という具合。

ここまでは、まあ良しとしよう。

通常、こんなことされたら

ええ?
忘れものするたびに漢字の書き取りの文字数増えんの?
ダル~。
忘れものに気いつけやな、しゃーないな~

by 昭和の関西小学生

なんだが、
当時のぼくと友人は違った。

なんか違うよ、君たち

昭和の教室の例に
「明日も忘れ物をすると、300文字の書き取りGET。」
と書いたのだが・・・

そう、
「毎日忘れ物したら、毎日100文字ずつGETできんのか~!」
と、小学生のぼくは考えたのであーる。

アホ?

てか、ほんまに何考えてたん?ねぇ。

ところが、これに賛同する同士が4名ほど存在したのである!!
正真正銘アホの連鎖である!

お前には、負けへんで!!!

by どうしようもない昭和の小学生たち

戦いの始まり

毎日忘れ物をすることで、累積で増えていく書き取りの文字数。

数百文字なら笑顔だった同志たちの表情は、
1000文字を超えてくると苦痛の表情に変わっていった。

だって、
休憩時間全部使って書き取りしても、
放課後にちょびっと居残りしないと終わんないんだもん。

by 希少な女子生徒

累積の攻撃力アップに耐え切れず、次々と脱落?してゆく同志たち。
何の見返りもないうえに

  • 先生に怒られる

  • 同級生にアホとみなされる

  • 自由時間が無くなる

という3重苦に、残ったのは2人だけ。


それでも、ぼくとライバルのアホは戦い続けた。

しかも、途中から

100文字ずつ増やしても、お前らはこたえへんのやな。
明日忘れもんしたら1000文字づつ増やすぞ!

by とんでもない生徒の担任になってしまった先生

先生、それは火に油だぜ!

寒いけど、あったかかった終わりの時

そして、ついに。

書き取りの文字数が、8000文字の大台に乗った日のことである。

そのころには、書き取りを終わらせるために

  • 休憩時間

  • こっそり授業中

  • 放課後全部

全力で使っても書き取りが終わらなくなっていて、
終了するのが夜の7時頃になっていた。

いやいや、
書き間違いじゃないよ。

19時。


「絶対ウソやん、小学校やで」

たしかに。
当時、本人ですらそう思っていた。

「オレら、なんでこんな時間まで学校におれるんやろ?」

どうやら、毎日先生が居残り二人の家に電話して事情を説明し、
校長にもなんとか許可をもらっていたみたいだ。

現在の日本では不可能だろう。
いや、当時でも無理か。
この生徒にこの先生アリである。


その日は、担任の先生が
「今日はめちゃくちゃ遅いから、めし食って帰れ」
と、声をかけてくれた。

学校の外に出ると、吐く息が白い煙のようになった。


近所のこじんまりとしたラーメン屋に着いて

しなびたおやじにラーメンを注文して

みんなでラーメンをすすった。



「なあ、もうええやろ。」

「うん。」
「はい。」


次の日から、先生は親に電話しなくて済むようになった。



ぼくはラーメンが大好きだ。

きっと先生のせいだと思う。


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