現在の家作りに求められる「快適・省エネ」についての技術的ポイントを
工務店側の視点でご紹介。
10月も終わろうとしているのに夏の報告。
ずっと暑かったので正当な表現なのだ。
そんなこんなで今年がどれぐらい暑かったか調べた。
去年は空前絶後に暑かったらしい。
そうだったっけ?
既に忘却の彼方。
それもそのはず。今年はさらに暑かった。
(猛暑日が多かったという意味で、ね)
で、さらに名古屋の月別平均気温を平年と今年とでグラフにした。
なるほど今年の夏は暑い。
数値にするとこんな感じ。
わっ。熱交ほしくなる。
従来「冷房期の熱交換はあまり意味ないのでは?」と言っていた。
理由は熱交換する恩恵があまりないからだ。
例えば、室温が26℃だったとする。
で、外気と熱交換する。
平年通りだと、8月こそ熱交換の恩恵はあるが(外が28.2℃で
中が26℃だと、外の熱を捨てる恩恵が大きい)
7月はトントン、9月は熱交換しないでほしい、となる。
(7月は外が26℃台で室内と一緒、9月は外の方が涼しいのに
室内の熱が中に舞い戻ってくるから。I'll be back.)
でも、今年はずっと暑い。26℃よりはるかに暑い。
よって、7~9月ずっと熱交換の恩恵がある。
そして、きっと来年以降も暑い。
もしかしたら「え?24年って暑かったっけ?」
と言っているかもしれない。
「今年は暑いし、湿気も多かった。」
という声を多方面から聞いた。
暑かったけど、湿気も多かったのか?
そこで絶対湿度も調べた。
夏はぐっと湿気が増えていた。
噂は本当だったのか。絶句。
夏期の室内の水蒸気量を12g/kg以下にしたい、ということでいえば、従来から熱交(全熱交換)は有用だった。今後はさらに活躍しそうな予感。
湿気が増えたということは、雨天が多くて日射量は減ったのでは?と思って全天日射量を調べたらずっこけた。
日射量も増えていた。
内外温度差、水蒸気量、日射熱この3要素が冷房期の室内環境を悪化させる外的要因だが、これらがすべて悪化していた。
エアコンにとって四面楚歌。
虞や、若をいかんせん、なのだ。
で、平年8月の平均気温、平均水蒸気量、平均蓄積全天日射量と
今年8月の平均気温、平均水蒸気量、平均蓄積全天日射量をもとに
8月の冷房需要を比較した。
つまり8月単体トータルとしてどれだけ冷房負荷kwhが増えたかを概算してみた。
(UA0.46w/m2k、ηAC1.2、外皮面積300m2、24h換気140m3/h三種とした。
また、室内温湿度設定は26℃、絶対湿度12g/kgとした。)
で、結果は
平年 約1250kwh
24年 約1800kwh
わ、随分増えた。
実効COP3.0のエアコンで両者の電気代の差額を計算すると
およそ5900円となる。(32円/kwh)
今後は夏のエアコン設計がよりシビアになる。
こんなこと考えていえると、今後どんどん夏の気候は
マッドマックス化していくのではないかと不安になる。
2024年の夏はマッドマックスのとば口に立ったわけですが、
そんな状況でもエアコンによってどれぐらい快適になったかを
私が担当した物件を紐解きながらご紹介したい。
(それは次回のお話)