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住まいの熱環境「開けゴマ!」

先週の土曜(2022年8月20日)、愛知県豊川市内の全館空調で涼しく調った住宅にいた。
この日は午後から曇り空で、ここ数年ずっと続いている「嗚呼、地球はまずいことになっている」と実感させられるような暑さではなかったが、それでもお昼頃は32℃で、湿度も高かった。
しかし室温は24℃台で、寒がりな女性にとっては、寧ろもう一枚羽織りたいぐらいだと思う。

環境測定(温湿度、消費電力)画像


この住まいは35坪ほどの2階建て。外皮性能は、UA値は0.43w/m2k。ηAC値は1.1(シャッター込みで)。C値は0.3cm2/m2。とてもしっかりした性能なので、一般的に14帖用と言われる4.0kwのダクト式エアコン1台で各部屋を冷房している。また、24時間換気は一種全熱交換換気を採用しており、それもあって、冷房エネルギー(冷房負荷)を低減できている。僕はこの住宅の建物性能を計算しそれに対して最適な冷暖房・換気設備の設計と工事をおこなった。

そんなこんなで、僕は建物性能をどれぐらいにして、そしてどのような冷暖房・換気によって、「快適」で且つ「財布にやさしい(省エネ)」住まいにするかを工務店さんと一緒に提供する仕事をしている。

もう少し付け加える。
僕が得意としているジャンルは以下の4つだ。

<断熱・気密・冷暖房・換気>

前者の<断熱・気密>は主にUA値やC値を中心に語られる。また、工務店さん、主に戸建をメインにされている設計者の方は住宅の建物性能をこのUA値、C値で語る。
逆に彼らは<冷暖房・換気>に詳しくないことがほとんどだ。なので、工務店さん主体の冷暖房・換気計画をみていると、どうしてそうなったのだろうか、と思うことは多い。
建物性能(断熱・気密)がしっかりしていても、最終的にその建物を冷やす・温めるのは冷暖房・換気設備なのだ。
僕は住宅の熱環境を調える上で、相互に関連している4ジャンルを横断的にチューニングし、工事まで行う仕事をしている。
それによって、「快適」であって同時に「財布に優しい」家作りのお手伝いをしている。この両者は実はアンビバレントであって、両雄並び立たせることは非常に難しいのだ。

床下エアコンや全館空調

僕が設計して全館空調や床下エアコンや全熱交換換気等を採用することは多い。
このnote上で、家づくりのkeywordになっているそういった床下エアコンや、全館空調、熱交換換気、UA値、気密性能などについて、実践現場からのレポートを交えながら語っていきたいと思う。

ところで「開けゴマ!」とは

最後にタイトルの「開けゴマ!」について。
僕は去年独立をして、この仕事をしている。社名をsimsim(シムシム)と言う。未だに照れくさくて頭をポリポリ掻いてしまうが、名前の由来はアラビア語の「ゴマ」だ。
アラビア語でゴマと言えば(「と、言えば」と、のたまってしまう厚かましさはあるが)、アラビアンナイトの「開けゴマ!」だ。開けゴマを原典のアラビア語にすると「イフタフ・ヤー・シムシム!」であり、アラビア語の直訳なのだ。
僕はこの業界に入る前、しばらくシリアに住んでおり、そこでアラビア語を勉強していた。なので、社名にアラビア語を採用した。そして、「開けゴマ!」には目の前の扉をパカッと開いて、未知のモノに飛び込むという、ポジティブなイメージがあると思う。(実際は結構な登場人物が死んでいるが。)
よって、「快適」と「財布に優しい(省エネ)」というアンビバレントな課題を「開けゴマ!」という魔法によってその扉をあけたい、という思いを込めたのだ。
これから、<断熱・気密>に<冷暖房・換気>というそもそも別ジャンルの両者を得意としているという稀有さにプラスして、更にアラビア語も解するというもはや何者なのかわからない存在として、住宅設計者やこれから家作りを考えている人の一助になるような情報を発信していく。


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