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あらすじで読む『人材開発研究大全』〜第9章:組織社会化研究の展望と日本型組織社会化〜

第9章では組織社会化が扱われます。学校であれ会社であれ、新しい組織に入ってからしばらく経つと、「私もようやく○○校/〇〇社の人間になったな」とふと感じる瞬間がありますよね。その感覚を得るまでにその組織に適応するプロセスが組織社会化です。

本章では、先行研究レビューを踏まえて組織社会化の定義づけがなされているので見ておきましょう。

組織への参入者が組織の一員となるために、組織の規範・価値・行動様式を受け入れ、職務遂行に必要な技能を習得し、組織に適応していく過程(209頁)

この定義に基づいて、本章ではもう少し組織社会化を深掘りしています。その中でも、企業組織で働くうえで留意したい三つの分類についてみていきましょう。

(1)内容によって区分する。
(2)時間軸によって区分する。
(3)程度によって区分する。

(1)内容によって区分する。

何をもって組織の一員となるか、という問いにはいくつかの回答のパターンがあるでしょう。本章では以下の三つに分けて解説されています。

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まず、一人前として仕事ができる能力が身についたと感じられたら職業的社会化が為されたと言えます。次に、「○○社の人っぽくなったよね」と言われるのが文化的社会化です。最後に、周囲から求められる役割期待を満たせる状態が役割的社会化となります。

(2)時間軸によって区分する。

組織に入る前と入った後という時間軸の相違によっても組織社会化を捉えることができます。

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RJPは、Realistic Job Previewの略で「現実的職務の事前提供」です。採用時のミスマッチを防ぐために、エントリーするポジションや組織における現実をイメージできる情報を入社希望者に提供するというわけです。これによって新入社員の期待形成を入社前に行います。

他方で、入社後には組織の現実が待っています。どれほど予期的社会化段階で期待形成を行っていても認識のギャップはある程度はあるものでしょう。そうしたギャップへの気づきに伴う驚きがリアリティショックです。この程度が大きすぎると「聞いていた話と違う」とか「こんなはずではなかった」と組織社会化が阻害されるという事態になりかねません。

(3)程度によって区分する。

組織社会化は為されれば為されるほど望ましいというものではありません。

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低いレベルに留まっていると、新しい組織での価値観や規範に反抗することになってしまいます。反対に、何でもかんでも受け入れすぎると服従状態になってしまい、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ともなりかねないのです。

今回は組織社会化について見てきました。前回までの入社前のフェーズから、入社後へと橋渡しする概念とも言えます。次回からは、入社後の人財開発について見ていきましょう。


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