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手の指の変形と女性ホルモン

手外科専門医ってご存知ですか?

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色々なメディアの方たちに向けての、プレスセミナーという講演で、私以外にもう一人

“手の外科”と呼ばれる専門医の方が、手の指の変形とホルモンについてのお話をされました。

まず「手の外科」と呼ぶ分野には、日本手外科学会という専門医の制度があるそうです。

この専門医の資格を取得するにはまず、整形外科の専門医、もしくは形成外科(美容形成ではなく傷を治すなどの形成)の専門医の資格を取得します。

いずれかの資格を取得した後にやっと手の外科の専門医を取得する権利を得られるわけで、サブスペシャリティと呼ばれる非常にニッチな専門性の高い分野であることは間違いありません。


手の指の変形

過去にtwitterで、更年期にさしかかった年代の女性の手の指の変形写真をアップしました。

指の第一関節は“DIP関節”と呼び、第二関節は“PIP関節”と呼びます。

この関節が腫れたり、指先の向きが曲がってしまうことはしばしばあります。

これまでこのような変形は、加齢や使いすぎによることが原因で、対処できないと言われてきました。

変形が進むと、手先を使う作業が難しくなるため、例えば刺繍が趣味な方は、それができなくなってしまいます。

手のひらをきちんと床につけることができにくくなるため、楽しみのヨガもできなくなるという可能性もあります。

しかし、このような変形に、エストロゲンとの関連があるということが、報告されています。


手の指の変形は性ホルモンと関連がある

その話を専門医から詳しく聞くことができたので、皆さんにもお伝えしたいと思います。

まず、手の指の変形の原因の一つに挙げた加齢ですが、女性では40歳後半から60歳頃にかけて、男性では60歳以上に多いと言われています。

この時期はいずれも、体内で性ホルモンの変化が起こる時期と重なるため、関連があると考えられるようです。

女性であればエストロゲンの分泌が急激に低下する時期、男性であればテストステロンの値が緩やかに下がってくる時期と重なっています。


60歳以上の90%は手の指に変形が

指の変形は、例えば腱鞘炎、腱鞘炎に含まれるばね指、第一関節が曲がるヘバーデン結節、第二関節が曲がる、ブシャール結節などがあります。

60歳以上の90%もの人の、指のどこか一つに、このような変形がみられます。

さらに、全体の40%に、明らかに指の関節が太い、先が曲がっているなどの重症例がみられるようです。

これは日本で取られている統計なので、かなり現実の数に近いのではないかと思います。

つまり日本において、60歳以上の人口は3400万人、そのうちの90%に指の変形が起こっており、全体の40%がひどい状態になっているということを考えた時に、これもまたQOLを大きく下げる原因になっているということを感じました。


手の痛みによるQOLの低下は、本当に防ぐことができないのか

女性は、エストロゲンの分泌の低下によって筋肉量が減り、筋萎縮によって骨盤底筋が衰えていきます。

特に妊娠分娩により、骨盤底筋にダメージを受けた方は、高齢になってからの尿漏れがひどくなることが言われています。

これがQOLを下げる大きな理由になり得るため、私はこのことを普段から頻繁に発信しています。

整形外科もしくは形成外科の領域で、同じようなことが言えることを知り、非常に大きな衝撃を受けました。

手の指の変形を、手外科専門医ではない医師に相談し、仕方がないと諦めて、放置してしまう。
すると、7年〜10年かけて、関節はますます変形してしまいます。

まだひどくない状態で、対処することができるかもしれない時代なのにも関わらず。


意識したいのは放置しないこと

しかし、この手外科専門医は、日本に1000人しかおらず、その中にも、

・ホルモンが得意
・手術が得意

など、得意分野が分かれるそうです。

もし、手指の変形が認められ始めた場合、例えば関節の痛みを感じるような場合は、ご自身のお母さんはどうだったかを、まず聞いていただきたいです。

この影響は大きく、母親に結節・関節の変形があった場合は、ない場合と比べ、「48倍も」変形が起こりやすいということが分かっているからです。

そしてやはり、意識したいのは「放置しない」ということです。

手の指は体の中で本当に小さな部位ですが、これが使えないことの不便さは、皆さんも想像ができるのではないかと思います。

そう考えると、私達のその後を大きく左右していくような、生活の質を高くキープする取り組みのひとつに、自分の体に興味をもつ・観察をするということも、大切になってくるのではないかと思っています。


知っていただきたい、手の指の変形とエクオールの関連

もう一つ興味深いのは、エストロゲンの急激な分泌低下と発症に関係があるということで研究が始まった、エクオール産生能との関係です。

大豆イソフラボンをとって、腸の中で代謝されて作られる、エクオールというエストロゲンと似た働きをもつ成分の産生能を持つ人と持たない人で比較をしてみると、エクオールの産生能が低いと手指の変形性の関節症を引き起こしやすい、というデータが出てきています。

このエクオールという成分は、更年期の症状を緩和させる、骨を強く保つ、メタボリックシンドロームが改善する、深いシワが浅くなる、などが報告されていることで知られています。

このことから、長生きができる時代において、非常に期待ができる成分となるのではないかと思っています。

そして、この手の指の変形に関しても、エクオールに期待できるという十分なエビデンスが出てきているということを皆さんに知っていただきたいです。

もし皆さんの中で、手の指に異変を感じていらっしゃる方がいらっしゃったら、まずご家族の手を見てみてください。

そして関節が腫れている・指先が曲がっているといった状態が確認できれば、ご自身の指が
これから先も変化していく可能性が高いと考えてエクオールを選んで飲み始めてみる。

エビデンスのあるものを、ぜひ賢く選んでください。1日に10mg以上が必須です。


手外科専門医に相談しよう

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既にもう変形が認められる場合には、近くの手外科専門医を探してみましょう。

この学会のホームページで専門医を見つけることができるそうです。

一般社団法人 日本手外科学会 
http://www.jssh.or.jp/

できればその中でも、女性の手の疾患に理解のある手外科医を探して相談して頂くことで、今後の人生がより良いものになるのではないかと感じました。

手外科専門医の講演を聞き、困っている方が少なからずいらっしゃることを知りました。

しかし、できることがないという理由で、放置されているケースが少なくないと感じます。

皆さんの周りの方の手も見ていただき、もし、気になる方がいらっしゃったら、このお話をしていただければと思っています。

私たちのこれからの人生が、より良いものとして続いていくことを願っています。



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産婦人科医 高尾 美穂
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