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すべては巡る〜先人の言葉が私の言葉になる

こんにちは、産婦人科医の高尾美穂です。

今日もお話を一つお届けしたいと思います。

最近本を紹介していただきたいという依頼をよく受けるようになりました。

私が本好きというイメージを持ってくださる方が多くいらっしゃるのだと思います。

私は本当に本が好きで、もしかすると皆さんが思っておられるより遥かに本好きと言えるかもしれません。

ツイッターなどで、「高尾先生の家にはどのぐらい本があるのですか?」というようなご質問をいただいたりしますが、「床が沈むぐらい」そんな答えになるのではないかと思います。

飛行機などの移動が多かった頃は、スマートフォンやタブレットなどで読んでいましたが、紙の本が好きなので、ほとんどは、紙の本で読むようにしています。

そんな中で今回は、ヨガをする方達に向けて本を3冊選んでほしいという依頼をいただきました。

春頃に開催されるヨガのイベントの講師の一人として、ご参加くださる皆さんにおすすめする、そんな中の3冊です。

そのヨガのイベントのテーマは”呼吸”でしたので、ヨガをする方達に呼吸というキーワードを、何か感じていただけるように自分の書庫の中から本を選びました。

ツイッターにもあげておりますので、ご興味ある方は見ていただけたらと思います。


おすすめしたい本


悩んで悩んで思い切って選びましたが、その中の1冊には、”置かれた場所で咲きなさい”という、カトリックの渡辺和子さんが書かれたご本を選ばせていただきました。

先生という立場の方が参加されるので、そういう方たちには、やはり誰かの役に立てる自分でありたいというような考え方を持っていただきたいという思いを持ちながら、少し哲学に近いような本を選びました。

初版は2012年で、何百万部も売れているベストセラーの本ですが、この本は私自身が買ったものではなく、私の母が買ったものです。

読みたいと思っていた本が、名古屋の母の本棚にあり、私が実家に帰った時に借りて帰りました。

私はこの本をすでに4回ほど読んでいます。

見ていただくと分かる通り、読み進めやすい文字の大きさで、文字が大きく載っていたりするページもあるので、比較的すぐに読み終えることができるのではないかと思います。

実は、私が普段から皆さんにお伝えをしたり、講義の中などで繰り返しお話していることは、こういった本の中に出てきます。

例えば、つらい日々も笑える日に繋がっているという言葉がこの本の中にありますが、私がよく使っているのが人生は繋がっているという言葉です。

これは、今の選択が10年後、20年後の自分に繋がっていくということを理解すると、今日明日私たちがセレクトすることが人生を形作っていくという思いを持っていただけるのではないか。

そんな思いで、人生は繋がっているという言葉をよく選んでいますが、そのベースはこのような本から来ているわけです。

つまり私がお話ししていることのほとんどは、誰かがすでにお話をされていて、その言葉などが無意識下でどんどん私の中に蓄積され、そして一番私にフィットする形で皆さんのもとに届いているというイメージです。

今日のテーマを、すべては巡るにさせていただきましたが、他にも色々なものが巡っていっていると思います。

例えば、ライオンキングでは”Circle of Life”というテーマ曲があるように、命が巡っていく。

草食動物たちが虫を食べ、そして草食動物たちをライオン達が食べ、命が巡るという生命の繋がりを描いた歌です。

先人たちが語った言葉や、見つけてくれた事柄が、私たちに受け継がれ、そしてそれがまた次なる世代に渡っていくというイメージをとても強く持ちました。

今回の3冊には選んでおりませんが、おすすめしたい中に、神谷美恵子さんという方の本もあります。

この方は、昭和の前半にご活躍をされた、女性の精神科医で、日本の女性の哲学者といっても良いのではないかと思うような方です。

ローマの哲学者マルクス・アウレリウスの自省録という哲学書を翻訳されたことで有名です。

医師なのでこの方はいわば科学者ですが、語学にも非常に長け、哲学もとても深く学んでおられます。

この方が書かれている本の中で、私の頭の中に無意識下に収めたことの一つとして、科学と文学が共存することが望ましいという考え方があります。

科学者なら科学だけをどんどん深めればよいと思う方もいらっしゃると思います。

私はというと、科学者であり、本が大好きで、文字が好きです。

科学を深めるにあたって文学というものがきっと活きると思っています。

それを言葉で端的に表現してくださっているのが神谷さんだったと今回改めて思いました。


私の言葉の原点


私が発している言葉というのは、全て私のオリジナルです。

しかし、その言葉たちは、私が今までに出会ったたくさんの本を書かれた方の言葉が知らないうちに、私の中に落ち葉が積もるように蓄積され、そこから私なりの感覚で新たに言葉が生まれている。

科学と文学が同時に存在していることが、お互いにとってとても意味があることなのだろうと思います。

実際どのように書かれているかというと、

科学をすることによって自分の文学が豊かにされるであろうことは深く信じている。
そして科学をするようになった以上、文学をすべき理由ないし義務が一層増したように思う。

(引用:『自省録』マルクス・アウレーリウス著、神谷美恵子 訳 /岩波文庫)

これは科学者であり、哲学もしくは翻訳までできる語学堪能な神谷さんだからこそ言えることであると思います。

それが多くの人に生きる、つまり役立てるためにはどのように伝えるかが大事です。

そう考えると科学と文学のスキルが同時に存在することで、お互いできることをより多くの人に届けることができると思います。


伝えていきたい言葉


今回紹介させていただいた2冊は繰り返し読んでおり、読んでいく中でこれらの言葉が自然に私に刷り込まれているのだと思います。

そしてその言葉達が私の中で自然な形で噛み砕かれていき、伝えたい言葉になって出ていく。

いかにも私が思いついた非常に素敵な言葉のように皆さんが受け取ってくださっているかもしれませんが、それはもしかすると私発信ではなく、私に何かしらのインスピレーションをくださった今までのたくさんの先人の皆さんの言葉だったりするということを今日改めて知らされたような思いです。

皆さんも是非たくさんの素敵な何かに出会っていただければと思います。

そこで何か新しい思いを抱いたとしたら、それをきっと人に伝えたくなると思います。

そのような私たちの思いが少しずつ大きくなり日本全体、世界全体が温かい思いで包まれるようなイメージを持つことができると良いなと思っております。



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産婦人科医 高尾 美穂
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