ザ・スイッチ
現在、世界中の映画ファンに最も支持されているホラー系映画に強い映画会社といえば、誰もがブラムハウスの名前をあげると思う。
「パラノーマル・アクティビティ」、「インシディアス」、「パージ」、「ハッピー・デス・デイ」などの人気シリーズを生み出しているほか、「ゲット・アウト」はBlack Lives Matterのムーブメントともリンクしたおかげでアカデミー作品賞ノミネートを果たしている。また、去年の「透明人間」もアカデミー賞など主要映画賞には無視されてはいるものの、フェミニズム的機運と合致したこともあり、高評価を受けている。
さらに、ホラーやサスペンス、スリラーにカテゴライズされない「セッション」や「ブラック・クランズマン」といったアカデミー作品賞ノミネート作品もブラムハウス作品だったりする。
そのほかにも、ブラムハウス作品ではないが、中心人物のジェイソン・ブラムはプロデューサーとして「アス」も手がけている。
日本未公開作品も多いと見るか、洋画不振と言われて久しいのにコンスタントに日本で劇場公開される作品が多いと見るかは、その人の視点によるだろうし、海外での興行成績に比べれば物足りない結果で終わっているものも多い。でも、好き嫌いは抜きにして、洋画を好む映画ファンであれば、非ホラーも含めたブラムハウス作品を1本も知らないって人はいないのでは?そう思えるほど、今の米国映画界においては重要な映画会社だとは思う。
まぁ、オカルト的な作品やスプラッター、サイコスリラー、Jホラーみたいな従来型のホラーが好きな人からすれば、“これってホラーなの?”って思うものも多いけれどね。
「ハッピー・デス・デイ」シリーズはほとんどコメディだし、2作目なんかはSF要素も満載だった。「透明人間」だって、サイコスリラー的な要素があったのは前半だけで後半はSFやアクションみたいな感じになっていた。
アカデミー作品賞ノミネートの「ゲット・アウト」もほぼコメディだし、この作品が評価されたのはBLM要素のおかげたしね。
なので、本作「ザ・スイッチ」も従来型のホラー的なものは全く期待せずに見ることにした。予告編などを見た限りではコメディとかバイオレンス・アクションのテイストに見えたし。
ところが、実際に見てみると、殺人鬼系ホラーにちょっとオカルトのテイストをまじえたって感じの結構、王道なホラー映画だった。勿論、予告編で明らかだったようにコミカルな要素は多かったけれど。
冒頭でいきなり、11日の水曜日って出てきたのには笑ってしまった!こういうセンス大好き!あと、目覚めのシーンが何度か出てきたが、これって「ハッピー・デス・デイ」を彷彿とさせるよね。
それから、男女で体が入れ替わると元男って、胸を触りたくなるってのは万国共通なんだろうね。「君の名は。」でもあったしね。フェミ的な人が騒ぎそうだけれど。
その一方で、メインの仲良し3人組が、いじめられっ子・黒人・ゲイという組み合わせで、もろポリコレ仕様になっているから面白い。なんとなく言い訳できるようにしているって感じなのかな?
それから、ホラー映画なのに感動的なシーンがあったことにも驚いた!
本作を見たいと思った動機にはブラムハウス作品であるということや、コロナ禍にあって全米興行収入ランキングで首位を獲得しシリーズ化が期待されているということがあげられるが、実は最大の理由はヒロイン役?のキャスリン・ニュートンを見たいからというものだったりする。
彼女に関しては、多くの人が「名探偵ピカチュウ 」に出てきた可愛い記者役で認識していると思うが、よく考えたら、その前に「スリー・ビルボード」でニルヴァーナが好きな被害者役をやっていたんだよね。というか、気付いたら、彼女の出演作品で日本劇場公開された作品は本作で5本連続で映画館で見ている。多分、今のハリウッドの若手女優では一番好みなんだろうね。
そういえば、同時配信作品(「ラーヤと龍の王国」)とか、ミニシアター系(「ノマドランド」)、日本資本の入った作品(「モンスターハンター」)などというのは最近見ているけれど、純粋なハリウッドのメジャー作品を見たのって久しぶりだな!冒頭のユニバーサルのロゴが赤くなっていたのには笑ってしまった!
ところで、去年は「犬鳴村」、「ミッドサマー」、「事故物件」とホラー映画のヒットが相次いだが、今年は本作や「犬鳴村」の姉妹作品「樹海村」も含めてパッとしないよね…。いつまでも収まらないコロナのせいで、ホラーを見る気分なんてなくなってしまったのかな?