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アクアマン/失われた王国

本作は「アクアマン」単体としては5年ぶりの続編となる第2弾だが、DCエクステンデッド・ユニバースにカウントされるヒーローものとしては15作目、いわゆるディレクターズカットものである「ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット」(日本では劇場未公開)を含めると16作目で最終章となる作品だ。

ユニバースが本作をもって完結することになった理由は明白だ。興行的、批評的に振るわないからだ。

2020年の「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒」は全米公開直後にコロナ禍に突入したし、同年年末の「ワンダーウーマン 1984」はコロナ禍の真っ只中で米国の映画館は開店休業に近い状態だったから仕方ないとしても、2021年の「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」は明らかに物足りない成績だった。

2022年の「ブラックアダム」こそ米国では大ヒットと呼べる水準に達したが、2023年の「シャザム!〜神々の怒り〜」や「ザ・フラッシュ」はイマイチな成績となり、「ブルービートル」に至っては、日本や韓国での劇場公開が見送られてしまった。

ワーナー及びDCの度重なる方針の変更で整合性の取れないシリーズになってしまったこと。中には米国ですらお蔵入りになってしまった作品まで出てしまった。

その一方で、ユニバースにカウントされない「THE BATMAN-ザ・バットマン-」は長尺作品であるのにもかかわらず興行的にも批評的にも成功を収めた。DC原作映画が大きな数字をあげられない日本ですら興収11.9億円と、2020年以降公開のDC原作映画では唯一の興収10億円超のヒット作となっている。

こうした結果となっている最大の要因はマーベル作品にも共通しているが、いわゆるヒーローもの疲れというやつだと思う。

配信作品を含めたユニバースに含まれるシリーズ作品の乱発により追い切れなくなったり飽きてしまった。
マルチユニバースという概念を提示すれば何をやってもいいという安直なストーリー展開ばかりで呆れてしまった。

これが、ヒーローもの離れにつながった要因だろう。

そんなわけであまり期待せずに見たが、実際に見てみたら、そこそこ面白かった。1作目ほどではないけれどね。

ロイヤルファミリーの兄弟がいがみ合いながらも巨大な敵と戦うという設定はマーベルの「ソー」シリーズでおなじみの設定だから新鮮味は全くないからつまらないという人の気持ちは分からないでもないが…。

また、左派が多い批評筋とかシネフィルはおそらく、悪役も味方の主人公に非協力的な人物も黒人になっている。つまり、黒人が悪者にされているのが気に食わないんだろうなとは思った。

また、特撮やコミックが大好きな者の中に多いウヨ寄りの人からすれば本作で描かれた環境問題が気に入らないんだろうなというのも何となく想像できた。

近年の夏の暑さは異常だし、ゲリラ豪雨のようなものも増えた。でも、地球温暖化とか言っておきながら、めちゃくちゃ寒い日も多い。それを指摘すると寒さも温暖化の影響だと主張する人がいる。最近はさすがに、その言い方だとまずいと感じているのか、気候変動問題と言い換えているケースも多い。でも、寒冷化問題とは言わない。結局、温暖化と言えば、EVだ原発だで儲けられるし、企業も環境に配慮しているアピールすれば優良企業扱いしてもらえるから言っているだけで、完全にビジネスになっている面は否定できない。

だから、温暖化のせいで氷で封印されていた巨悪がよみがえってしまったという設定を環境問題否定派が酷評したくなるのもよく分かる。

でも、全体としてはマーベルも含めたここ最近のアメコミ映画では上出来の部類に入るのではないかと思う。2023年度のアメコミ映画では、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3」、「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」に次ぐくらいの出来だったと思う。

まぁ、DCエクステンデッド・ユニバースの最終作感は全くなかったが…。というか、マーベル・シネマティック・ユニバースのフェーズ4最終作「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」もラスト感はなかったけれどね。
何ちゃらユニバースの最終作というのは所詮、ここで制作体制が一区切りついたって意味でしかないんだろうね。要は地下アイドルの現体制終了みたいなものなのかな。
とりあえず、ブランドは存続したいけれど、関わる面子が変わるなど制作体制を仕切り直したい時に使う便利な言葉って感じ?






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