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ギレルモ・デル・トロのピノッキオ
本作は今年度の賞レースのアニメーション部門でのフロントランナーにいると見られている。だから、Netflix配信作品でも劇場上映されることになった。
もっとも、同じネトフリ配信アニメーション映画でも、カートゥーン・サルーンの最新作「エルマーのぼうけん」は日本では劇場上映されていない。過去4本の長編作品全てがアカデミー長編アニメーション賞にノミネートされているサルーンの最新作が上映されないのに本作は上映されることになったというのは、賞レース要素よりもギレルモ・デル・トロ監督最新作であるということを考慮した結果なのだろう。
本作はアカデミー作品賞や監督賞などを受賞した「シェイプ・オブ・ウォーター」以降では2本目のデル・トロ監督作品だ(テレビ作品を除く)。
前作「ナイトメア・アリー」もアカデミー作品賞にノミネートされているので、本作への期待も高まるのは当然といえば当然だ。
また、ディズニーの実写リメイク版「ピノキオ」がロバート・ゼメキス監督とトム・ハンクスの黄金コンビ作であるのにもかかわらずDisney+での配信オンリーになってしまったことから、同じ題材を扱った同じ配信作品でも限定的とはいえ、劇場上映されるこちらの方に注目しようとなるのは映画好きとしては当然の考えだと思う。
そして、実際に本編を見てみると、これは賞レースのフロントラインに立つのも当然でしょと思うような出来だった。
ディズニー系(ピクサー含む)以外のアニメーション映画では初めてとなるアカデミー作品賞候補になってもおかしくないと思う。
アニメーションのジャンルとしてはストップモーション・アニメーションに括られるが、この技術が優れているのは言うまでもない(多少、カクカクしているところはあるが)。
そして、本バージョンではムッソリーニ独裁政権下のイタリアを舞台にしていることもあり、反戦のメッセージが明確に込められていることから、ウクライナ情勢を巡り世界が混沌としている現在の世界情勢ともリンクしている。
それから、死生観を描いているのは嫌でもコロナ禍になり、これまでより死について考える機会が増えた我々、先進国の市民にもささるものがあった。
そして、「シェイプ・オブ・ウォーター」や「ナイトメア・アリー」といった賞レースを賑わせた作品同様、本作でもデル・トロ監督ならではのエンタメ要素やホラー要素も盛り込まれている。
映画ファンでなおかつ、世界情勢に興味を持っている者なら、この作品を酷評することはできないよ。
というか、遥か昔に見た1940年のディズニー版「ピノキオ」より面白かった。
エンタメ要素と言えば、1940年版同様、短い曲ばかりとは言え、ミュージカルアニメーション仕立てになっていて、デル・トロ監督もディズニー版をリスペクトしているんだなというのはよく分かった。エンディングに流れた曲はアカデミー歌曲賞にノミネートされそうだ。
ホラー要素に関しては、全体的にダークファンタジー調になっているけれど、一番の違いはキャラクターデザインだろうか。ディズニー版と異なり、ピノッキオのキャラデザが木目そのものになっているのが印象的だった。グロ可愛い感じがしていいと思う。
それから、クリケットがコオロギでなくゴキブリだった。しかも、すぐにつぶされてしまうキャラになっているのがかわいそうだった。笑えるけれどね。
そう言えば、クジラが悪役になっていたけれど、偽善的なメッセージを掲げるのが好きなリベラル勢はこの辺に噛みつきそうだよね。
本作が賞レースで過小評価されることになったとしたら、それはクジラを巡る描写のせいと思って間違いないのでは?
それにしても、父と子の話ってダメだな…。
泣いてしまう…。
うちの父親が母親と離婚して家を出ていったせいかな…。
このクソ親父が死ぬ直前にがんで体調を崩し、バリアフリーに引っ越したいから保証人になってくれと言って来た時は、再婚相手には息子がいるんだし、都合が良すぎんだよって思ったりもしたけれど、結局、死の間際になって、血のつながりを突然感じたくなったんだろうね。
ところで、最近、ディズニー以外が作った作品は「ピノッキオ」表記みたいな決まりがあるけれど、昔は、非ディズニーでも「ピノキオ」表記はあったよね…。というか、原作は「ピノッキオの冒険」と「ピノッキオ」表記で出ているものが多いみたいだが…。どうでもいいが、統一して欲しいな…。そもそも、本来はアルファベット表記だしね。
《追記》
EJアニメシアター新宿って、海外アニメーション、しかも、ネトフリ作品も上映するようになったんだ…。まぁ、KADOKAWA作品だけでラインナップを埋めるのは無理だしね。というか、KADOKAWAは角川歴彦の逮捕など色々あったし…。
「艦これ」2期がオンエア当日に放送延期を発表、しかも、再開は3週間後とか、ありえない状況になっているのを見ると、KADOKAWAのアニメ部門もこの問題の影響で色々とヤバいのかも知れないな…。
普通は完パケ作品が当日に納品されるなんてないから、穴をあける可能性というのは前日までには分かっていたはずたしね。
とりあえず、無理して11月放送開始にせず、1期の再放送で穴埋めして、年が明けてからの放送にすれば良かったのに。キー局放送作品でないんだから、それくらい出来たのでは?
というか、最近はキー局放送作品でもコロナの影響などで、総集編などで穴埋めしている作品も多いし、そもそも、深夜アニメなんだから、きちんと放送できる状態になってからやれば良かったんだよ。