劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM［前編］君の列車は生存戦略』

何故、およそ11年前に放送されたテレビアニメの総集編映画が今頃公開されたのだろうか？それは木村昴効果なのだろうか？

確かに、この作品は木村昴にとって声優として初めてジャイアン以外の役を演じた作品だ。
木村昴は今では、声優によるラッププロジェクト「ヒプノシスマイク」（最初は音痴なジャイアンがラップというネタに思っていた人も多かったのでは？）、子ども向けバラエティ番組「おはスタ」の司会、特撮ドラマ「仮面ライダーリバイス」に声のみならず顔出しでも出演と実に幅広い活動をしている。
なので、人気声優・木村昴の本格始動となった作品を再発掘し、一稼ぎしようという気持ちも分からないでもない。

また、この手の深夜アニメの劇場版をテレビ放送から何年ぶりに作るとなった時に、出演声優、特に女性声優の顔ぶれを見ると時代の流れを感じることが多く、いかに女性声優というのがアイドル的な需要に依存していて、アイドルとしての賞味期限が切れると使い捨てされているんだなというのをついつい実感してしまうことが多い。

ところが本作の基となったテレビシリーズには、堀江由衣、豊崎愛生、早見沙織など、いまだに人気声優として活躍している人たちが出演していた。
堀江由衣は当時、既に人気声優となって10年以上が経過していたが、豊崎愛生や早見沙織は人気が出始めたばかりの頃だ。
そうした違いはあれど、テレビ版から11年近く経った今でも人気声優なんだから驚くばかりだ。
まぁ、3人ともかつてのようにCDをバンバン出すようなことはなくなったので、アイドル的人気の声優ではなく、純粋に人気のある声優になったのだとは思うが。

というか、早見沙織に関しては、「鬼滅の刃」や「SPY×FAMILY」のおかげで、今の方が人気あるような気もする。というか、アニオタ、声豚以外にも多少は知られた存在になっていると思う。

つまり、木村昴だけでなく、共演者も含めて、十分に今公開しても商売になるという判断なんだと思う。

というか、テレビシリーズを全く見たことがなかったのでよく知らなかったが、この「ピングドラム」というコンテンツは地下鉄サリン事件を題材にした作品だったのか…。
まぁ、地下鉄サリン事件という言葉もオウム真理教という団体名も出てこないし、それどころか、テロ事件の舞台となった丸ノ内線など地下鉄の路線も架空の名称でしか登場しないが、主人公らの誕生日が1995年3月20日で、その日に地下鉄で起きた事件に関わった親、事件に巻き込まれた親が出てくるという話だと知れば、少なくとも、テレビ版の放送時点で20代後半になっていた人で、日本在住者なら誰でもサリンの話だって分かるしね。

ただ、“回想”という文字が出てきたうえで、駅名表示板や改札、車内といった地下鉄絡みの場面が映し出され、その後に時系列が行ったり来たりする回想シーンが流れるという構成が何度も繰り返されるので、正直なところ、映画としては非常に退屈だった。
典型的なテレビアニメを見ていない人には何がなんだか分からない総集編アニメ映画という感じだった。

しかも、自分の腹の調子がよろしくなかったので、途中からマジでとっとと終わってくれとしか思えなくなっていた。

鑑賞前日は3回目のワクチン接種からちょうど6週間経った日で、体力や気力が復活し、6週間ぶりに腕立て伏せやストレッチをやろうと思ったくらいだった（こんなに長い期間サボっていたのは10年以上ぶりだ）。
その勢いでノンアルとはいえ、久々に酒っぽいものを飲もうという気分にさえなったからね（ノンアルも含む酒っぽいものを飲んだのは2ヵ月ぶりだ）。
しかし、久しぶりに無茶したのが良くなかったのか、腹がかなり下痢気味になってしまった。

まぁ、気候がちょっと寒くなった影響もあるとは思うが。

そんな体調で構成がダメダメな作品を見てしまったので、本当、苦行だった…。

構成以外の面では、近親相姦っぽい描写が気になった。よく、キー局で放送されたなって思う。

というか、TBS系列（正確にはMBS作品）でよく、サリン事件を元ネタにしたアニメを放送できたよねってことに驚いている。

初放送の2011年当時、そんなに話題になった記憶がないのは何故？
東日本大震災が発生した年だから、こういう内容の作品にはなるべく触れるのはやめようみたいな風潮でもあったのかな？

でも、同じ2011年作品で、なおかつ、闇描写のある作品でもある「まどマギ」や「あの花」は話題になったんだから、単に作品の出来や声優の演技に対する評価が低かっただけのような気もするな。

木村昴は今でこそ演技派だけれど、当時はそれまでジャイアン役しかやったことなかったわけだし、ヒロイン役の演技も微妙だったしね。

とりあえず、夏に公開される後編を見てから、きちんとした評価はしたいと思う。

《追記》
それにしても、11年前のテレビアニメを基にした映画なのにやたらと若い観客が多い…。それだけ、木村昴の若者人気が高いってことなのかな？