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2010年代以降、映画監督・北野武は停滞していたと言ってもほとんどの人が同意してくれるのではないかと思う。

2010年代の北野作品は「アウトレイジ」シリーズ3作品と、同シリーズのパロディのような「龍三と七人の子分たち」があるだけだ。
「アウトレイジ」が北野作品としては珍しく娯楽寄りの内容でヒットしたこともあり、金儲けのためにヤクザ娯楽路線が続いたという見方もあると思う。

また、オフィス北野の“内紛”による独立騒動や離婚・再婚騒動もあり、映画を作っている状況ではなかったというのもあったのかも知れない。

というか、本作はそうした最中に作られていた作品でお蔵入りしかけていたものだとも言われている。

そんなわけで、紆余曲折の末、「あの夏、いちばん静かな海。」以来、実に32年ぶりとなる東宝配給作品として本作が公開されることになった。

北野作品としては、「アウトレイジ 最終章」以来6年ぶり、続編ものを除くと、「龍三と七人の子分たち」以来、8年ぶりとなる久々の新作だ。

内容的には北野作品最大規模の大作といった感じだった。また、同性愛や人種問題など今日的なテーマも盛り込んでいるので欧米の批評家受けは良いのではないかと思った。

ただ、この手の作品だとクライマックスになることが多い本能寺の変の描写があっさりで、それ以降の場面がやたらと長いのはちょっと構成的にだれた感じがしたと思う。

もっとも、主演が秀吉役のたけしとなっていることを考えれば、本能寺の変がクライマックスでないのは当然と言えば当然なのだが。

あと、たけしの演技、微妙だね…。それから、たけしと秀長役の大森南朋、官兵衛役の浅野忠信の3人のシーンって、ほとんどコントだよね。というか、アドリブが多いのでは?笑い声とかNG一歩手前のやつをそのまま使っているようにも見えた。

まぁ、ブランクがあった割には、しかも大作なのにということを考慮すれば、本作は平均点以上の出来になっていたとは思うかな。

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