半地下アイドルはコロナ禍を生き残れるのか
最近、解散や複数メンバーの卒業を発表するアイドルグループが増えている。
主なものをあげてみよう。
解散
●ラストアイドル(5月予定)
●26時のマスカレイド(10月予定)
複数メンバーの卒業
●虹のコンキスタドール(2人卒業、うち1人は兼任していたでんぱ組.incも卒業)
●まねきケチャ(5月に卒業するメンバーとは別に来春には3人が卒業し残るメンバーは1人に)
新体制に移行
●夢みるアドレセンス(残り2人になっていたが、新メンバー6人が加入)
●大阪☆春夏秋冬(3人卒業、残りの2人はソロ活動しつつ後継ユニットのアドバイザーに)
上記にあげたグループはいずれも、アイドル系フェスの常連だ。ドルオタなら特別ファンではなかったとしても、なんとなく知っているキラーチューンを持っているグループなので、フェスとかで彼女たちのパフォーマンスを見れば、なんとなく盛り上がることができてしまう存在だ。特にラスアイや虹コンなんかは地上波で冠番組を放送していたくらいだから、ドルオタの間での認知度は高かったのではないだろうか。
とはいえ、世間的にはほとんど知られていないのも事実だ。
地下アイドル、地上アイドルなどといった言葉はドルオタでなくても聞いたことくらいはあると思う。
何をもって地下と呼び、何をもって地上と呼ぶのかは、ドルオタや当のアイドルの間でも見解は定まっていない。
大雑把に言えば、
●広く一般的にCDやダウンロードなどで音源を購入できる。ストリーミングサービスで音源を聞くことができるのが地上で、公式がYouTubeにアップした動画やSNS以外で視聴することが難しいのが地下。
●ライブハウスで開催される対バン形式のライブや運営主催の定期公演を活動の中心に据え、そのライブ会場で行うチェキ撮影会など接触系イベント参加券を売る物販で主たる収入を得ているのが地下で、ワンマンライブが中心で、接触系イベントはあくまでCDなどの購入者へのオマケという体でやっているのが地上。
という感じなんだろうが、実際はそうでもなかったりする。
だから、半地下アイドルなんて言葉が存在している。別にアカデミー作品賞を受賞した韓国映画みたいに、オタクにパラサイトして生活しているアイドルという意味ではない。
SAY-LAなんかは、オリコンのデイリーチャートで首位を獲得したことがあるのに、対バン形式のライブとその会場で行う物販が主たる活動の場となっている。
民族ハッピー組は日本レコード大賞新人賞に選ばれた(最優秀は逃したが)望月琉叶が所属しているが、定期公演や対バンライブでの接触系物販が主たる収入源となっている。
上記の解散などを発表したグループに関して言えば、ライブや接触系イベントのやり方も多種多様だ。
夢アドやまねきケチャなんかは、ライブのやり方にしろ、接触系物販にしろ、SAY-LAあたりに近いと思うが、ラスアイは接触系イベントに関しては、参加券を売るというやり方ではなく、あくまでも、CD購入者への特典という体を取っている。
でも、上記の各グループを括るとしたら、半地下という言葉しか出てこないんだよね。
結局、女性アイドルで完全に地上と呼べるのは、AKBグループや坂道シリーズ、ハロプロ、ももクロ、イコノイといったあたりしかいないということなんだよね。
NHKおよびキー局でゴールデン(プライム)に放送される音楽番組(夏や年末の特番含む)に出演できるorかつては出演していたというレベルが地上ということかな。
そういう点でいうと、Mステに1回出ただけの=LOVEや、まだ、ゴールデン(プライム)の音楽番組には登場していない≠MEですら、地上アイドルとは言い切れないってことなのかなって気もするが、ファン層を見ると、イコノイは地上って気もするんだよね。
まぁ、でんぱ組だって、“全盛期”にはMステに出たことがあるから、音楽番組の出演の有無は関係ないのかな…。
というか、音楽番組に出ていても、BiSHには地上感はないしね…。
そういえば、BiSHも解散を発表しているグループだった…。
なんとなくだけれど、リアルな接触系イベントの代替としてのオンラインイベントでも大多数のファンが満足してくれる。
声出し不可のライブでも大多数のファンが満足してくれる。
そういう層に支えられているのが地上アイドルなんじゃないかなって気がする。
Jリーグで声出し応援の再開が検討されているらしいが、それって、結局、サッカーファンがスタジアムに足を運ぶ理由が騒ぎたいからってことなんだろうね。単にプレーを見るだけでは満足できない。
半地下アイドルのファンもそれと同じで、アイドルと接触できないきゃつまらない、ライブで声出しして騒げなきやつまらないって思っている人が多いってことなんだろうね。
地下アイドルは、テレビやラジオ、雑誌の仕事なんてほとんどないから、感染症対策にシビアになる必要がない。だから、チェキ撮影もバンバンやっているし、ライブでファンが声出しするのを容認しているケースも増えている。
でも、半地下アイドルは、テレビやラジオ、雑誌の仕事があり、メンバーがコロナに感染したら仕事に穴をあけることになるし、ましてや、メンバー経由でマスコミ関係者やファンに感染させたりでもしたら、叩かれることになってしまうから、感染リスクの高いチェキ撮影や声出しライブなんて、全面解禁するのは難しい。
でも、ファンの多くは、それを望んでいる。
だから、そういうのが制限された現場からは足が遠のいてしまう。
その結果、収入が減っていき、最終的には解散とかメンバーの卒業という道を選ばざるを得ないってことなんだろうね。
この相次ぐ解散問題というのは半地下アイドルならではのジレンマによってもたらされたものって感じなのかな。
民族ハッピー組みたいに割り切って下世話なイメージを持たれても構わないというスタンスなら接触系イベントをやれるんだろうけれど、コロナ禍ではそういうイメージは嫌われるからね。下世話なイメージが強いBiSHですら特典会を今はやっていないらしいし。
少なくとも、年内は地上や半地下のライブでの声出しはNGだろうし、大規模なチェキ撮影も難しいだろうし、また、新たな感染の波が来たら、今ある再開の機運も吹っ飛んでしまうかもしれない。
やっぱり、接触系イベントと声出しライブでしか集客できないビジネスモデルから抜け出せないから、解散や卒業が相次ぐんだろうなという気がするかな。
坂道やイコノイが健闘しているのは、女性ファンが多いというのもあるけれど、ファンがオンラインイベントや声出し不可のライブでも満足しているというのもあるからね。
これまでできていたことができなくなっても、1年のブランクなら何とか、その次の年に復活できるが、2年のブランクになると難しいみたいなことを言う人がよくいるが、そう考えると、コロナ禍3年目の今年はその2年のブランクの“節目”になるわけだし、コロナ前のビジネスモデルに今すぐ戻れないということは、もう、旧来のやり方では復活できないってことなんだよね。
やっぱり、声出し不可でもファンを釘づけにできるパフォーマンスをし、コールやMIXなしでもファンにきちんと聞いてもらえる楽曲をリリースすることしか打開策はないんじゃないかなという気もする。
まとまりのない文章になってしまったが、この負の連鎖を続けさせないためには、アイドル・運営・ファンが一体となって、新たなビジネスモデルを開拓するしかないと思うんだよね。
AKB48の活動開始以来、16年以上続いてきた、会いに行けるアイドル商法は、そろそろ終わりにしないとアイドル業界全体がダメになってしまうのでは?
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