TOHOシネマズ独禁法違反の背景
TOHOシネマズが配給会社に他社の劇場に作品を配給しないよう圧力をかけたとして、公取委から独禁法違反の疑いで調査を受けたというニュースが流れたが、少なくとも月に1本以上は映画館で見ている映画ファン(ミニシアター系作品しか見ないとか、名画座や特集上映しか行かないという人は除外)なら、誰もがそうだろうねと長年思っていたのではないだろうか。
おそらく、新宿地区だと、TOHOシネマズ、ピカデリー、バルト9の3つのシネコン全てで上映される作品というのは、邦画大手3社系、ハリウッド大作系を中心に結構多いから、東宝が圧力をかけた配給会社というのは、ミニシアター系、アニメ系の会社なんだろうし、上映させるなと指摘されたシネコンは松竹のピカデリーやMOVIX、東映のバルト9やT・ジョイではなく、イオンやユナイテッド、109、その他独立系なんだろうなうなという気はするかな。
そもそも、TOHOシネマズのスタッフって、他の映画館のスタッフと比べるとヤケに上から目線なんだよね。というか、シネコン時代になる前の旧来型の映画館の時代から東宝系の劇場のスタッフは偉そうな態度だった。
一言で言ってしまえば、観客に対して“見させてやっているだけ感謝しろ”みたいな態度かな。上映ミスがあっても反省の色を見せないしね。不備を指摘しても、払い戻しに難色を示すし、明らかに観客が上映中に“おかしい”と感じても、その場では何も言わず、後でこっそり、ホームページにお知らせを載せて済ませたりしている。少なくとも、ネット予約してチケットを買った人には連絡できるのにしないんだからね。基本、自分たちが悪くても払い戻しする気はないという姿勢なんだと思う。
TOHOシネマズ シャンテなんて、ネット予約したチケットの発券機が1スクリーンあたり1台しかないから、混雑すると有人窓口で発券することになるけれど、その際に、平気で予約者に電話番号を読み上げるように言うしね。個人情報の保護をしろよって思う。
客のことを何とも思っていない証拠だよね。
それと同時に、TOHOシネマズという企業(というか、親会社の東宝自体なのかもしれないが)にパワハラ体質、体育会系体質、ブラック企業体質があるのが、こうした客を見下す姿勢につながるのではないかと個人的には思っている。
自分は、深夜出勤や早朝出勤が多いので、よく迎えのタクシーを利用して出社するのだが、その際にタクシーの無線から聞こえてくる指令でやたらと、TOHOシネマズへの配車を指示するものが多いんだよね。
テレビ局や新聞社、官公庁への配車なら分かるけれど、TOHOシネマズへの配車ってどういうこと?しかも、平日の午前3時とか4時だよ。
それに、コロナ禍になってからは映画館の営業時間だって、短縮傾向にあるのに…。
つまり、23時過ぎくらいに営業が終わっても、その後、3〜4時間は残業があるのがデフォルトということでしょ。
というか、就職情報サイトに掲載されていたTOHOシネマズの募集要項を見ても、支配人候補の募集なのに、とても業界トップとは思えないほど薄給だったから、正社員、非正規(バイト含む)問わずモチベーションは低く、それでいて、上からの圧は強いから、そのストレスの捌け口が観客に向かっているんだろうね。
やっぱり、TOHOシネマズというか東宝のこうした体質って、東宝という企業が阪急阪神ホールディングスの持分法適用会社であるということ。つまり、関西系の企業らしいというか、関西人らしいというか、金にがめつく、金儲けこそが全てという、そういう体質のせいなんだろうね。
ポイントサービスの利用がしにくいように改悪されたのも、上映中にポップコーンとコーラを買いに行くことを推奨する映画好きとしてはありえないCMを流していたのもそうだ。
紙兎ロペの500円で映画を見る方法というCMも詐欺に近い。別にauのサービスに加入して500円で見られる特典を受けなくても、入場料を携帯料金とまとめて払うこともできるんだから、手持ちの現金がなくてもTOHOシネマズで映画鑑賞はできるんだよね。
そして、映画館の入場料金が値上げされる時は、どこの興行会社よりも先立って、東宝が値上げするのもそう。他社が東宝に追随せざるを得ないのは、東宝が日本の映画業界において圧倒的なシェアを誇っているからだ。
今回、問題となったTOHOシネマズの独禁法違反も背景にあるのは、東宝が圧倒的シェアを持つ=業界で最大の権力者になっているからだと思う。
去年の興収ランキングの総合トップ3は全て東宝配給のアニメ映画だし、邦画の年間トップ10には、この3本にプラスして、実写2本とアニメ1本が入っている。さらに、洋画のトップ5のうち、2本は東宝がライセンスを持っているために国内配給が東宝となっている作品。年間1位の「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」を含む2本が子会社の東宝東和の配給作品だからね。
しかも、ディズニーがディズニープラスでの配信に力を入れていて映画館を軽視しているとして東宝・東映・松竹の邦画大手3社はディズニー追放キャンペーンを行い、見事、それに成功したから、尚更、東宝のシェアは高まってしまった。劇場公開と同時にDVDやBlu-rayが発売されるアニメ作品のイベント上映をやっている東宝・東映・松竹には映画館軽視なんて主張する資格はないのにね。でも、そのネガティブ・キャンペーンがうまくいってしまい、ディズニー映画は映画館で見るものではなくなってしまった。
だから、圧倒的シェアを持つ東宝には日本の映画業界では誰も逆らえない。それを利用して配給会社や大手3社系以外のシネコン、ミニシアターを苦しめているんだから、本当、東宝には腹が立つよね。
ミニシアターの営業が苦しくなったのには、本来、ミニシアターで上映するような作品をシネコンが奪っていったというのもあるしね。
まぁ、アップリンクに関しては自業自得としか思わないけれどね。