盆踊り上手とは、上手く踊れる<踊らせる人?!
こんにちは!
ありがたいことに、一年目にして盆踊りを披露する場で踊らせてもらっている、高尾可奈子です!
踊り手デビューした私ですが、いざ「踊りに行く」立場に加えて「踊らせる」立場にも立つようになると、見える世界も360度変わってきます。
今回は、視野が広がった中で少しずつ気づき始めてきている、盆踊り上手とはどういうものなのか?
これについて私なりに考えていこうと思います!
盆踊りのリードは難しい!
盆踊りを知らない人々に、盆踊りを見せることは想像以上に難しい、、?!
はじめに感じた大きな壁でした。
理由は4つあります。
一つ目は、今まで覚えずお手本を観て踊っていたので、振りが暗記しにくい!
盆踊り会場では、踊り上手な踊り手さんが何人もおり、誰でも踊れる環境が整えられているため、いざひとりで踊ろうとすると振り付けが出てこなかったり、、
変に断片的に振り付けを覚えているため、意識しないと間違えて踊ってしまいがちなのです。
以前、R&Bの歌の師匠に言われたことですが、
初めての曲を覚える時は、流し聴きせずに、最初の数回で完璧に歌詞と音とリズムを暗記するように。
なんとなく覚えてしまうと、後から歌詞を入れようとしても頭に入らなくなるから気をつけてね。と。
確かに、なんとなく知っている曲ほど、歌詞を覚えられなかったり、間違って覚えたところを修正するのが難しかったりしますよね!?
初めましての盆踊り振り付けに出会った時は、忘れる前に復習して、脳内に記憶を定着させるのが良いのかもしれませんね!
壁の二つ目は、振り付けの繰り返し動作が音楽やお囃子と合わせにくい!
古くからの盆踊り唄は、シンプルな繰り返しの動きが多いので踊りやすいのですが、ポップスなどで踊る場合は、サビに向けて微調整が入ったりするので、振り付けが変則的に。
決まった振り付けのループが、途中で中断したり、あるいは間に手拍子など入ったりするため、一気に間違いやすく、忘れやすくなります!
三つ目は、ステージで踊ると左右逆になってしまう!
ふつう、前の人の背中を見て踊るのが盆踊りですが、ステージで踊る場合は、踊り手と観客(参加者)が正面向きに向かい合うことになります。
すると、見ている人からすると、右手が左手にみえやすいというマジックが起こります。
一緒に踊ってもらう時には、つい鏡のように動いてしまうのが人間ですから、お手本側が右左を逆にして踊ったり、あるいは背中向きで踊る人を用意したり、、工夫が必要になるでしょう。
身体で文字を作る振り付けは、文字が反転左右して見えないように、見せる必要にもありそうです!
能・歌舞伎役者の心得として、舞台を俯瞰して全体を見通す技が必要というのを何度か耳にしたことがありますが、盆踊りを披露する際は、この意識が特に必要だなと実感しています!
四つ目は、一緒に踊るときは早取りくらいがちょうど良い!?
ステージや櫓から降りて、大きな輪になって踊るときにも、お手本の踊り手だからこそ意識した方がよさそうだと感じているのが、音の合わせ方!
ただ踊るのみの場合は、盆踊りではお囃子をよく聴いて間を取って踊るのが理想のよう。
間を取ったり、音頭取りに合わせて踊っていくと、自然と踊りはゆっくりとなり、太鼓など厳密なリズムよりは遅れがちになります。
しかし、皆を踊らせる場合はそれが難しくなります。
踊りを知らない人は、お手本の動きを見た後に真似をしますから、それが連鎖していくと、どんどん踊りだけが遅れを取ってしまいます。
リードする人が普段よりも気持ち早く踊ることで、全体の踊りは程よいスピードで遅れを取らず円滑に進むのかもしれません!
(確かに、踊りのお手本の方は動きが一回り早い方が多いなという印象でしたが、だからこそ初めて踊る盆踊りも気持ちよく踊れたのかなと感じます!)
盆踊り、踊り上手の定義とは?
SNSなどでもチラホラ聞こえてきますが、
盆踊りの踊り上手とは?
盆踊りの踊り手の目指すところとは?
といった話題には事欠きませんよね!
誰でも踊れる、簡単だと思われがちな盆踊りだからこそ、踊りの違いが分かりにくく、個性も出しにくく、差別化しにくいため、踊り上手というのも客観的に定義するのはとても難しいようです、、
あまり厳密に盆踊りの正しい踊り方を決めてしまうことは、本来の盆踊りの性格(大衆熱狂、地域性、多様性)と離れてしまうことになり、誰かを疎外することになるかもしれません。
村を超えて、海を超えて、長い時間をかけて広がりながら、大衆の求めるものを取り入れて変化を続けた盆踊りは、広がるパワーがその存続に不可欠なのかもしれません。
もちろん、振り付けは大切な財産ですから、人から人へ伝えていくときに、できるだけ変化せずそのままの形で保存させることも必要ですよね!
この2つのバランスが悩みどころでしょうか。
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ちなみに、オペラ、クラシックの世界では、どんな超一流プレイヤーにも師匠がいます。
西洋クラシック業界は、師弟関係が基本です。
そして、師匠以外はその人の演奏を指導してはならないという暗黙の了解があります。
オペラ公演などでは色んな流派?派閥?の演奏家が集まりますが、指導は演出家による演出的部分のみ。
歌い方・演奏方法の根本的なところについては、口出しをお互いにしません。(もちろん、本人から相談があれば親切に答える方が大半だと思います。)
逆に、その距離感があるからこそ、色んな立場の人が集まっても、お互いを尊重しながら大きな公演を成功させることができるのだと考えます!
盆踊りでは、師弟関係を結んでいるのは、会に所属していたり、舞踊を習っている方くらいで、それ以外の方が多い印象です。
しかし、あの団体の人だから、踊りが間違っているからとあまり拘らずに、盆踊り会場ではリードする方々(演出家?)に従って、一緒に踊る人々を尊重しながら踊ることができれば、プラスの輪が広がっていくのかもしれません。
勝手な想像ですが、お許しください!
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個人的な好みとして、好きな踊りを見つけたら、自分なりに真似をしてみる。
もし好みではないなと感じる踊りがあっても、言葉や態度で示さずに、まず距離を置く。
どうしても納得できない場合は自身が先生となり、人に教えることもできるでしょう!
踊り好きだという共通の部分は、実はお互いに理解し合うための最強の条件なのかもしれません!
本当の敵役?は、盆踊りの中にはあらず。
世間にいる踊りに関心のない人々なのかも?しれません。
ダンサーとして時折仕事を頂いている私も、ダンサーより稼げる仕事があるのになんで踊るの?と当たり前のように言われたりしてしまいます。
まだまだ日本の社会では、踊りに対する理解や関心が追いついていないのかもしれません。
盆踊りは、誰でも気づいたら踊り出せる素晴らしい踊りですので、古今東西様々なダンスが溢れる現代でも、変わらず重要な役割があるのかもしれませんね!
踊らせる踊りが、最強?
盆踊りを全国に広めた一遍上人は、民衆をどんどん踊らせることで、念仏を広める目的を果たしました。
本人がどれくらい踊っていたのか知ることは大変難しいのですが、踊る人というよりは踊らせる人という印象が強いです。
その後、音頭取りが僧から専門職業化され、盆踊り唄もその形を変え続けますが、盆踊りは嗜好様々に踊らせる人がいるからこそ成立するというのは変わらない部分です。
現代の盆踊りでは、音頭取りの存在はレアになり、曲はCDなど音源を使うことが一般的です。
お囃子は会場にはあまり登場しなくなりましたが、踊りの手本は見せる必要があり、お手本の踊り手の存在は変わらずあり続けています。
いかに大衆を踊らせられるか、、これが盆踊りにとって重要な要素なのかもしれません!
もしかすると、上手に踊ることだけでなく、上手に踊らせることにも意識を向けると、盆踊りの本質により近づくことができるのかも、、!
そして、踊らせるために何が出来るのか考えてみると、沢山の方法がありそうです!
多くの曲目を見本なしでも踊れるようになってみたり、リードとして踊る機会を増やしたり、経験の豊富な方であれば踊る会を開催する方もいますし、踊りたそうにしているお子さんや大人たちを誘ってみたり、、
ひたすらに理想の踊りを追究して、自分の踊りをもって見ている人々を踊りたくてウズウズさせてしまうというのも凄い技ですね!
踊りに馴染みのない方を踊らせてしまうにはどうすれば良いのか、という視点で盆踊りを考えてみると、盆踊りは多くの人にとって楽しみやすい形に発展していくようなことができそうですね。
今回は、盆踊りを踊らせるという視点で、盆踊りの可能性を考えてみました!
やはり、その立場を経験してみないと、理解が進まないことも多いですね。
踊りを見せて、踊ってもらう立場になってみてはじめて、その大切さに気がつきました。
盆踊り先輩方を参考にして、これからも参加者目線の楽しい・分かりやすい・続けられる盆踊りを研究していこうと思います。
読者の皆様も、是非思うところ、ご意見ご感想などお気軽に教えていただけると嬉しいです!
最後まで、ありがとうございました。
高尾可奈子でした!
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