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【学び備忘録】新型コロナウイルスの現状

はじめに

最近は社史の投稿ばかりしていたが、世の中の情勢がだんだんと逼迫してきている。そうした中、探究者を育む仕事をしている人間が「今世の中で何が起きているか?」と探究しないでどうする!?というニーズでこの記事を書いている。あくまで個人の学びをまとめて、今後の指針の参考にしたいという意味合いが強い。

そもそもコロナウイルスとは?

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コロナウイルスの外観および内部の模式図(写真はwikipediaより)

ド文系人間である僕にとって「そもそも論コロナウイルスってなんだっけ…?」という疑問が若干わく。早速、厚生労働省のHPの新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)を見てみると、このように書いてある。

これまでに、人に感染する「コロナウイルス」は、7種類見つかっており、その中の一つが、昨年12月以降に問題となっている、いわゆる「新型コロナウイルス(SARS-CoV2)」です。 このうち、4種類のウイルスは、一般の風邪の原因の10~15%(流行期は35%)を占め、多くは軽症です。残りの2種類のウイルスは、2002年に発生した「重症急性呼吸器症候群(SARS)」や2012年以降発生している「中東呼吸器症候群(MERS)」です。 コロナウイルスはあらゆる動物に感染しますが、種類の違う他の動物に感染することは稀です。また、アルコール消毒(70%)などで感染力を失うことが知られています。

そもそも風邪の原因のは、鼻やのどが微生物に感染することによって起き、その原因の90%近くはウイルスが原因だという。そして風邪の原因の10~15%はコロナウイルスとのこと。

コロナウイルスを原因とする疾患であり、2002年に発生した「重症急性呼吸器症候群(SARS)」は「Severe Acute Respiratory Syndrome」の略称として名付けられている。

そして2012年以降発生している「中東呼吸器症候群(MERS)」は「Middle East Respiratory Syndrome」の略称。このMERSは「中東」という地域名が付いているが、WHO(世界保健機関)は2015年に声明を発表し、それ以前の名称のつけ方を批判している。

これまで、病気の名前が特定の宗教的・民族的コミュニティーに対する反感を引き起こし、渡航や貿易などへの不当な障壁を生み、家畜の不要な殺害を招いてきた

ゆえに、今後の新型ウイルスの名称決定について、「地理的な位置、人の名前、特定の文化や産業」などは名前に含めてはいけないというガイドラインを発表している。

そして、2019年の12月以降に問題になっている新型コロナウイルスには「SARS-CoV2(Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2/重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2」と名付けられ、この新型コロナウイルスにより発生した病気には「COVID-19(コビット・ナインティーン/CoronaVirus Disease, 2019/2019年にコロナウイルスにより発生した病気)」と名称が付けられた。

安倍総理大臣の一斉休校要請

外出自粛要請、オーバーシュート、ロックダウン(首都封鎖)などなど…。未知の非常事態に際して耳慣れない用語を数多く聞くようになった。こうした時に「意味わかんない!」「どうして簡単に言わないんだ!」と言うのは簡単だが、過度な簡素化は意味内容の正確な把握を困難にする場合もあるので、ここは知的体力が求められるのだろう。

いち中小企業に勤務する人間としては、自分の所属組織の今後に関わるということで新型インフルエンザ等特別措置法に基づく自粛要請などについてまとめてみた。

2月27日に安倍総理大臣は官邸で第15回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催、その後3月2日から春休みまで全国すべての小学校・中学校、それに高校などについて、春休みに入るまで臨時休校とするよう要請した。

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写真は首相官邸HPより

弊社としてはこの休校期間を子どもたちに有意義に過ごしてもらおうと、無料オンライン授業をYoutubeで公開することになった。だが、前提からいえば首相の一斉休校要請には法的根拠はない。あくまで「お願い」である。

新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案の成立

そして3月13日には、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案(法律自体は2012年の民主党政権で成立している。以下特措法と略する)が国会で可決、翌14日より施行した。

この改正案の附則部分の第1条の2で以下のように追加されている。

新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。第三項において同じ。)については、新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律(令和二年法律第四号。同項において「改正法」という。)の施行の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日までの間は、第二条第一号に規定する新型インフルエンザ等とみなして、この法律及びこの法律に基づく命令(告示を含む。)の規定を適用する。

これによって新型コロナウイルス感染症も特措法の対象となった(下記のリンクより特措法の全文が読める)。

基本的には賛成多数で可決された改正特措法。しかし、同法の定める「緊急事態措置」などの強い私権制限に懸念を抱いた山尾志桜里衆院議員が所属する立憲民主党の方針に対して造反し反対票を投じ、同党を離党したのも記憶に新しい。

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山尾志桜里衆院議員。写真はwikipediaより。

私権制限への強い懸念や、権力集中的な運用への反発などを踏まえて、この特措法に対する国会の附帯決議には次のような一文がある。

三 緊急事態宣言をするに当たっては、特に緊急の必要がありやむを得ない場合を除き、国会へその旨及び必要な事項について事前に報告すること。緊急事態宣言を延長する、区域を変更する、又は解除する場合も同様とすること。

ここら辺の話は、下の記事がよくまとまっている。

できること、できないこと

特措法に基づいて、もし首相が緊急事態宣言をすれば、宣言に特定された区域の都道府県知事はさまざまな要請・指示ができる。法律の条文を読めば「できること・できないこと」がわかる。

条文で新型インフルエンザ等緊急事態措置に関する話は『第4章第32条』よりはじまり、感染を防止するための協力要請等は同じく『第4章第45条』が該当する。少し見てみよう。

第四十五条 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、当該特定都道府県の住民に対し、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる

つまり、基本的にできるのは「要請(=強めのお願い)」ということである。45条の続きをみると

2 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定する興行場をいう。)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる

事業者に対しても、まずできるのは「要請(=強めのお願い)」。まかり間違っても、いきなり外出禁止!見つけたら逮捕!となるわけでは当然ない。ではもし要請に応じなかったらどうなるのか?法律には続きがある。

3 施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを指示することができる
4 特定都道府県知事は、第二項の規定による要請又は前項の規定による指示をしたときは、遅滞なく、その旨を公表しなければならない。

要請に応じなかった場合、「指示(=してください)」することができる。この「指示」は「要請」よりもワンランク上の表現だが、罰則はない。その点「命令(=しなさい)」とは異なる。ただし上の記事でも指摘があるように、罰則がないと言うだけであって、専門家の意見を踏まえて、法的根拠を持った「指示」は、重みで言ったら命令に等しい(一応、下に特措法の罰則規定部分も載せる)。

第七章 罰則
第七十六条 第五十五条第三項の規定による特定都道府県知事の命令又は同条第四項の規定による指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長の命令に従わず、特定物資を隠匿し、損壊し、廃棄し、又は搬出した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
第七十七条 第七十二条第一項若しくは第二項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
第七十八条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

ただし、この特措法によってフランスのように「罰則を伴う外出禁止令」が出せるわけではない。日本の場合、強い権限を持って「コロナと戦争できる」わけではない。無論、都道府県知事にロックダウン(都市封鎖)の権限などない。

暫定的なまとめ

仮に緊急事態宣言が出されたとしても、海外のような強い罰則を伴う制限をかけることはできない。東京都議会議員の藤井あきら氏が上のブログでまとめているように、爆発的な感染拡大を防ぐためには国民の協力が不可欠なのだ

一方で、弊社含めた中小企業にとって「中長期の営業自粛」は、企業としての生命線を絶たれるに等しい。オンラインも含めた対策を企業努力で講じつつ、政治の力にも期待するところが大である。

有名な話だが、16-17世紀イギリスで活躍した哲学者フランシス・ベーコンは『知は力なり』という格言を残している。危機を嘆いたり憤る前に、まずは知ることによって力を身につけ、そこから生まれた新たな創意工夫をもとに、困難な時局を生き抜いていきたいものだ。

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フランシス・ベーコン(画像はwikipediaより)

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