こども本の森 神戸が開館「世界にはばたく人に育って」
きょう25日「こども本の森 神戸」が開館した。
建築家の安藤忠雄さんが阪神・淡路大震災の記憶継承などを目的に神戸市の東遊園地に建設、寄贈した子ども向けの図書館だ。
開館記念式典は、あたたかい春の陽射しが降り注ぐ中で行われた。
青りんごを手に登壇した安藤さんは「アメリカの詩人サミュエル・ウルマンは『青春とは20代30代だけではなく、目標を持っている限り、70でも80でも青春だ』と言っている。これからの子どもたちには100まで青春を謳歌してもらえるように、こども本の森を作った。」とシンボルについて語った。
大阪市旭区で育った安藤さん。
中学2年生の時、自宅を2階建てにする工事を担当した若い大工さんが、一心不乱に昼ごはんも食べずに工夫を重ねて働く姿を見て、憧れを持ったと言う。独学で建築の世界に入り、様々な人や本との出会いを経て感性を磨いていった自身の経験から「こども本の森を自分を育ててくれる本との出会いの場にしてほしい。そして世界、地球を考えられる人に育ってほしい」と笑顔を見せた。
名誉館長に就任した女優の竹下景子さんは、99年以降、阪神・淡路大震災の関連行事で詩の朗読をボランティアでおこなうなど、震災復興事業に力を尽くしてきた。
「思うままに、いつでもこの場所に足を運んで、自分の好きな本と出会って、海に面したこの神戸の街から世界を想うような、たくましく自由な気持ちをもった子どもたちがここから育っていってくれたら」と挨拶した竹下さん。この場所を訪れた子どもたちが、ウクライナのことを自分たちのことと受け止めてほしいと、子どものころに読んで印象深かったという『シートン動物記』のほかアンネ・フランクの写真集や、ひめゆり学徒隊の絵本も寄贈した。
こども本の森 神戸は「1・17のつどい」が開催される「東遊園地」の中にある。本の貸し出しはしていないが、東遊園地内であれば自由に本を持ち出すことができる。
神戸市が本や運営資金の協力を募ったところ、市民や企業、団体などから、およそ2万冊が寄贈され、目標金額を超える1億5,000万円以上の寄付金が寄せられたという。
安藤さんと竹下さんの手で扉が開かれると、招待された神戸市内の幼稚園児たちの歓声が響いた。
延べ床面積570平方メートルの館内は、壁一面が本棚。あたたかい木の香りが漂う。開放的な吹き抜けの空間に、渡り廊下や階段などワクワクが散りばめられていて、子どもたちは、まさに「本の森」での探検を楽しんでいた。
1冊の絵本を仲良く読む姿を見て、
安藤忠雄さんや竹下景子さんの想いがしっかりと子どもたちに届いているのだと感じた。
入館は無料だが、事前予約が必要。時間入れ替え制となっている。詳しくは公式ホームページで。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?