作品が上手く書けない時、同人誌が売れない時、感想が来ない時、思い通りにいかない葛藤とどう付き合うか【二次創作・同人活動】
はじめに
二次創作活動は趣味であり、楽しいと感じるからやっている人が多数だろう。
それなのに、思い通りにいかない葛藤を抱くとは、どういう状況だろうか。
思い通りにいかない原因
「理想」と「現実」のギャップ
大抵の場合はこれのせいでもどかしさを感じてしまう。
以下に、二次創作活動においてよく見かける葛藤の例を3つ挙げる。
上手い作品を作りたい、それなのに、完成した作品は下手
本を沢山売りたい、それなのに、売れない
感想が沢山欲しい、それなのに、もらえない
前半が「理想」、後半が「現実」だ。
この2つのギャップを減らす努力や工夫こそ、思い通りにいかない葛藤と上手く付き合う方法である。
なれば「理想」を下げ、「現実」を上げるのが近道である。
高い高い「理想」という名のハードルの脚を分解し、低く小さなハードルの群れに分ける。そして「現実」のジャンプ力を鍛え、小さなハードルたちを一つずつ超えていくのだ。
そのうちに、小さなハードルがいくつか合体した、少し高いハードルでも超えられるようになる。
そのころには、元の「理想」の高さに、「現実」が少しだけ近付けている。
葛藤も少しは鳴りを潜めるだろう。
「理想」を下げるには
一度抱いた理想を、下げることはなかなか難しい。
しかし、高いハードルの正確な高さを理解することは可能である。
まずは自分の理想を理解し、受け入れることから始めよう。
自らの「理想」を理解し、分解する
「理想」とは何かを突き詰めて考え、小さな要素に分解していこう。
銃を突きつけられたら恐ろしいが、分解された銃の部品は怖くない。
冒頭で挙げた3例の葛藤について、紐解いていく。
上手い作品を作りたい
では、理想の「上手い作品」とはどのような作品だろうか。
「上手い」と感じるからには、そのようになりたいと憧れている作家や作品があるはずだ。まずはその憧れを素直に受け入れることが肝要である。
目標とする作家の作品をとことん読み込み、どのような部品から成り立っているかを書き出す。
そしてその部品のどの要素を「上手い」と感じて、自分の琴線に触れているのか、徹底的に分析しよう。
同人誌などの1冊の本であれば、ストーリー、セリフ、演出、描写力などの作品の根幹から、デザイン、装丁などのパッケージも部品として挙げられる。ここに、漫画作品なら絵柄やコマ割り、小説作品なら単語の選び方やリズム感、なども加わってくるだろう。
例えば上記で挙げたうちのひとつ「ストーリー」という部品について、筆者が思いつく上手いと感じる要素は「起承転結がしっかりしている」「わかりやすい展開」「衝撃のどんでん返し」「起伏の少なさが生む安心感」などである。
1つの部品が2つ以上の要素を持っていることもあるし、「どんでん返し」と「起伏が少ない」は相反する要素である。しかし、気にせずたくさん挙げていけばよい。
コツは思いつく限りなるべく多くの部品とその要素に分解し、1つ1つのハードルを小さく具体的に、明確にすることだ。
本を沢山売りたい
具体的に、何部を売りたいのか。どこで売りたいのか。加えて、どんな人へ売りたいのか。
そもそも何故売るのか、目的は何なのか。
よくよく考えて、何が自分の「理想」なのかを理解しよう。
売りたいと読まれたいがイコールかどうかもはっきりさせておくとよい。
読まれたい、というのは注目されたい欲求にも近しい。ちやほやされたい、等ももちろん理由たり得る。また、特定の人物なのか、不特定多数なのかも考え、自覚しておいた方がよい。
筆者は部数の大小にはそこまでこだわりはなく、告知への反応を見て需要数を把握している。イベントでの完売については、欲しかったのに現地で買えなかった人を生んでしまうためあまりしたくなく、調査した需要数の1~2割増し程度の発行数に決めることが多い。欲しい人が買えた、程度に数が売れれば満足であり、それが理想である。
長期間売り続けたい場合はもう少し増やすこともある。
売る目的については、自分の愛好するカップリングの布教し、ついでに印刷代やスペース代が回収できればラッキーといった感覚だ。
感想が沢山欲しい
具体的に何通欲しいのか。これは目標数となる。現状が全くもらえていないのであれば、まず1通や一言をもらうことからはじめよう。
誰から貰いたいのか、どんな種類の感想が欲しいのか、どのツールで貰いたいのか、貰った後どうしたいのか。
また、何故感想が欲しいのかも改めて考えておいた方がよいだろう。
というのも、周りが感想を欲しがるので同じように求めていたものの、いざ感想を貰ってみると、存外にプレッシャーを感じてしまう作家もいると知ったからだ。
このような事態をなるべく避けるため、何故欲しいのかは明確にしておいた方がよいと思われる。
筆者は感想が欲しいたちである。理由は、感想をいただける程度に他人の心を動かせたという事実を感じられ、次作の執筆モチベーションが上がるからである。
特に、同じく本を書く作家から、次回作への期待を添えてもらえると特に嬉しい。さらに言うなら手紙で貰うのが一番嬉しいし、その手紙は後生大事に保存するし、1通あれば十分満足である。
「現実」を上げるには
こればかりは自分から行動しなくては、状況は変わらない。
腹をくくって、今日から始めよう。
実力を高める・適切な努力をする
自分の理想を理解できたのなら、それに一歩一歩近付いていくだけだ。
再度、冒頭で挙げた3例の葛藤について述べる。
上手い作品を作りたいのに、完成した作品は下手
「理想」の「上手い作品」を研究し分解したことで、自分が何に憧れているのか理解できたはずだ。
同時に、自分に何が足りないのかも明白になっているだろう。そこを埋める努力をしていけばよい。
色塗りが上手くなりたければ、教本やメイキング動画を見て参考に練習する。語彙力が足りなければ、様々な作品を読んでインプットをする。類語辞典などの資料を集めるのもよい。
そうした小さな積み重ねと繰り返しが「上手い作品」に繋がる。
筆者が現在よくやっていることといえば、好きな作家のツールを真似して使ってみたり、素材の使用の仕方を研究したりなど、もっぱら見映えを良くするための情報収集と実践である。また、表紙レイアウトにあまり自信がないので、デザイナーにお願いしたりする。自分で文字配置まで作成していた時代は、とらのあなで売れ筋の同人誌やBL商業誌の表紙の構図やデザインを参考にしていたが、一部の努力を金で補うことも選択肢である。
本を沢山売りたいのに、売れない
目標を仮に「イベント会場で100部売りたい」と設定したとすると、まず少なくとも100人以上に事前告知を見てもらわなければならないことは明白だろう。
そのために考えられることとしては、売れやすいジャンルやカップリングで本を出したり、頻繁に作品をUPして、見てくれるフォロワーや拡散してくれるフォロワーを増やしたり、大手との交流を持ったり等だ。
また、告知や宣伝は1度だけでは見落とされがちだ。筆者は何度でも行うべきと考えるが、頻度などはジャンルや界隈の雰囲気も考慮して方針を決めるのが無難である。
本を売る話ではないが、多くに人に見てもらうための具体的な行動をする、という点ではこの漫画作品が参考になるので一読推奨である。
【同人女S3-③】いいねが欲しい同人女 前編/真田つづる
感想が沢山欲しいのに、もらえない
自分が欲しい感想についての「理想」を理解できているだろうか。
では、「理想」の感想をもらうために、何が足りないのかを洗い出そう。
どこから送ってほしいか明確にしているか?どのような感想が欲しいかが明確なら、YES/NOで答えられるような簡単なフォームや、絵文字を連打できるツールも選択肢に挙がってくるだろう。
その他、作品の魅力が足りないのか?自身の人望や気安さが足りないのか?そもそも自分からは送っているか?
出来る対策はすべて、一度はやってみても損はない。
また、感想が欲しければ、欲しいことを表明しよう。
言わなければ気付いてもらえないのは当然。
筆者が一番欲しい感想は「理想」の段階で書いたとおりだが、貰えるものは全部欲しいので、奥付や匿名メッセージなどの一言欄にも「感想嬉しいです」と表記しているし、うるさくならない程度に感想が欲しい旨のツイートもする。
筆者のフォロワー達には、本の奥付に匿名メッセージツール等のQRコードを載せている作家も多い。ここから感想をくれ、という意思表示になっている。
中にはGoogleフォームで点数評価・よかった要素のチェックボックスでの回答・自由記載、の3問の簡易アンケートを作って載せている作家もいた。記名も、文章にする必要もなく、設問数も少なく5分以下で回答できるアンケート内容だった。個人的にこれはとてもハードルが低く、読み終わってすぐでも回答がしやすかった。一言でもいいから感想が欲しい、という気概が感じられた。
また、たとえ一言だとしても感想をくれた人がいたのに、「感想が全然来ない」などと公言してしまうと、その人からは二度と来なくなる。
些細でも感想をくれた人のことは常に心に留め、蔑ろにしないように気を付けたほうがよい。「もっと欲しい」くらいにしておくのが無難。
一朝一夕には無理だと諦める
自分がこれからどんな過程でどうなっていきたいのかを、ある程度決めておくと、自分のペースを守りやすい。
定期的に見直して練り直すことも、悩みすぎないコツだ。
昨今インターネットでは異常に若い作家が、とてもすばらしい作品を発表している。とんでもない数のRTやいいねがつき、評価されているのを見てしまい、にわかに嫉妬することもあるらしい。
こういった感情が湧くのは仕方がないとして、早めに諦めるほかない。
嫉妬した時点ですでにその作家の技術を認めているのだ。
嫉妬はバネにもなるが、抱き続けると疲れてしまう。
深呼吸して冷静になろう。
いったん立ち止まって、自身の活動を振り返るチャンスである。
隣の芝が青いのは当然だ。こそこそと自宅の窓から盗み見ていればなおさらである。いっそ堂々と玄関からお邪魔して、そのすばらしい青さを研究させていただくくらいの心持ちでよいのだ。
自分と若い神作家は何が違うのか?どんな差があるのか?分析することで、より客観的に考えられるようになる。
誰しも若さだけは戻ってこない。しかし技術は今からでも育てることができる。
日々年を取るばかりだとしても、今、適切な努力をして、数年後には成長した己を祝おうではないか。
おわりに
もしも今、このような葛藤が一因となって体調を崩しているのなら、早く医者に見てもらえ。話はそれからだ。
また、落ち込みやすい自覚があるなら定期的に心療内科やカウンセリングに行く方がよい。相性がよくて心から信頼できる、かかりつけ医師やカウンセラーは今日明日では見つからない。すぐに予約が取れないことも多い。
つらくなってからではかかる病院を探すのも、その後の通院も大変だ。
二次創作活動に関わらず、趣味を楽しむためには健康体でいるに越したことはない。
筆者はしぶとく生き残りたい。
だって最後の一人になれば、筆者が一番うまい作家なのだ。
生きよう。
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