M1 MacにおいてHomebrew経由でTeX環境を構築する
この記事は「MacOSにBasicTeXでTeX環境を構築する」を著者の最新環境にて確認した上でまとめ直したものです.
2023/12/24更新:BasicTeX の更新について追記しました.
はじめに
TeX環境にて執筆する場合,Overleaf や Cloud TeX といったサービスは環境構築を必要とせず,特に Overleaf では,執筆者が複数いる場合に共有することができるため,これらのサービスを使うことが多くなりました.
ただ,ローカルにTeX環境が整っていれば,何かしらのバックアップにはなると思うのでまとめておきます.ちなみに,今回利用する TeX Live は,TeX WikiにてそれぞれのmacOSで動作するか確認することができます.
環境(2023/12/24時点)
macOS Ventura 13.6.3
Homebrew 4.2.0
BasicTexをインストールする
BasicTex は,TeXディストリビューションの1つである TeX Live のうち最低限のものが含まれるサブセットです.
まず,BasicTeX を Homebrew でインストールします.
% brew install basictex --cask
次に,パッケージマネージャーである tlmgr を更新する必要があります.
% tlmgr update --self --all
sudo: tlmgr: command not found
アップデートしようとしたときに,command not found となる場合は,tlmgr のパスを通します.BasicTeX では,Apple Silicon に対応して universal-darwin になっています.
% ls -F /usr/local/texlive
2022basic/
% sudo /usr/local/texlive/2022basic/bin/universal-darwin/tlmgr path add
% cd /usr/local/texlive/2022basic
2022basic % sudo curl -L http://mirror.ctan.org/systems/texlive/tlnet/update-tlmgr-latest.sh -O
% Total % Received % Xferd Average Speed Time Time Time Current
Dload Upload Total Spent Left Speed
100 350 100 350 0 0 596 0 --:--:-- --:--:-- --:--:-- 602
100 9414k 100 9414k 0 0 1803k 0 0:00:05 0:00:05 --:--:-- 1786k
パスが設定されたことを確認するために,バージョンを確認してみます.
2022basic % tlmgr version
tlmgr revision 62273 (2022-02-28 09:52:17 +0100)
tlmgr using installation: /usr/local/texlive/2022basic
TeX Live (https://tug.org/texlive) version 2022
BasicTeXを更新する
BasicTeX の大元である TeX Live は,毎年1回大幅なアップデートがあり,そのタイミングではリポジトリが更新されます.リモートリポジトリとバージョンが異なるとき,更新するように求められます.ここでは,2022 → 2023 へ更新するときの手順をまとめます.
tlmgr: Local TeX Live (2022) is older than remote repository (2023).
この記事では,Homebrew 経由でインストールしているため,BasicTeX をアップデートします.アップデートが完了すると,2023basic というディレクトリが生成されます.
% brew upgrade basictex
% ls -F /usr/local/texlive
2023basic/
次に,インストールしたときと同様に tlmgr のパスを更新します.まず,これまでのパスを削除します.その後,2023basic/ の tlmgr を参照するようにパスを追加し,tlmgr をアップデートします.
% sudo tlmgr path remove
% sudo /usr/local/texlive/2023basic/bin/universal-darwin/tlmgr path add
% sudo tlmgr update --self
これで,tlmgr が最新版の TeX Live を参照していることが確認できます.
% tlmgr version
tlmgr revision 66457 (2023-03-08 00:07:12 +0100)
tlmgr using installation: /usr/local/texlive/2023basic
TeX Live (https://tug.org/texlive) version 2023
LaTeX環境を構築する
次に,便利になりそうなセットアップを紹介します.
latexmk
latexmkは,PDFを作成するときの全てやってくれる便利パッケージです.
% sudo tlmgr install latexmk
日本語対応
$ sudo tlmgr install collection-langjapanese
ドキュメントサイズをA4に設定
$ sudo tlmgr paper a4
追加リポジトリをインストールする
Basictex は最低限なので,足りないものは tlmgr で追加します.
% sudo tlmgr install <ライブラリ名>
インストール完了後,パス追加を行うことで使えるようになります.
tlmgr path add
参考:Basic Usage of tlmgr, the TEX Live Manager
おわりに
このあと,TeXファイルからPDFが無事作成できれば完了です.
お読みいただきありがとうございました.
参考にさせていただいた文献
macOS Mojave に LaTeX 環境を作る
初心者がBasicTexをmacにインストールする(2019年)
macOS CatalinaでLaTeX環境整えた時のメモ(2019)