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People Experienceをデザインする上で大切なことを考える

どうもこんにちは。年末は何か書きたいなと思って、実は今回入社7年目にして初めて、Goodpatchのアドベントカレンダーに参戦してみました。
Goodpatch Design Advent Calendar 2022 10日目の記事です。

デザインがテーマということでPeople Experienceをデザインすることについて、これまであまりまとめたことがなかったので書いていきたいと思います。他の記事もぜひ楽しみながら読んでいただけたら嬉しいです。

PX(People Experience)とは

Goodpatchには「PX」という考え方が浸透しています。
Employee Experienceなどの言葉で語られらことが多いこの領域ですが、私たちはあえて人間という意味合いが強い「People」としています。
それは企業を取り巻くステークホルダーを「従業員」「クライアント」「求職者」「株主」などといった肩書きのラベルではなく、一人の「人」として捉え、その人たちを取り巻く体験に向き合っていきたいという想いを込めた名前になっています。ユーザー中心のデザインを手がけてきた私たちらしい考え方で気に入っています。

ちなみに、PXチームはGoodpatch組織内では2019年あたりから組織図上に登場し、その前は勝手に活動している草の根チームでした。現在は、経営企画室(Corporate Design Office)内に紐づいて、経営企画室のメンバー全員がグラデーションを持って関わる業務となっています。

PXチームは組織内のカルチャー醸成に関連する施策をリードしますし、人を向いて組織を主語に仕事はするけれども、それは本来組織に所属して働く以上は、誰かだけがするのではなく、みんながすることだと思っています。
カルチャーは誰かだけで作るものではなく、みんなでつくるものです。誰かがやってくれると思っていたらいつの間にか「お客様」になってつまらなくなっていきます。PXチームはそんな文化のぬか床を時々かき混ぜる、手のような存在です。組織に携わる誰もが、PXの作り手になれる「参加の余地のデザイン」がとても重要だなと思います。

以前、石黒さんが呟かれていたツイートはまさにと思ったのでここにも置いておきます。

ちなみにカルチャーはOSであり、アップデートされるものであるという考え方もこちらの記事のように定義しています。


いまこんな活動をしています

GoodpatchのPXチームは主に人事、広報のバックグラウンドのあるメンバーで現在は形成されています。そのためざっくりカテゴリを分けると、現在手がけられている業務の範囲は以下のようなラインナップです。

・全社イベント、会議の運営
・オンボーディング施策
・エンゲージメント施策
・福利厚生関連など


関連しそうな記事をペタペタ貼ってみます。

こうした活動を2018年から続けてきてもう5年ほど経ちますが、失敗と成功を重ね、形を変えながらも何度も改善を繰り返し、継続しているものばかりです。ここまでは土台作りだったと思うので、これからの5年は継続に加えて、さらなる深化と進化を遂げたいところです。

PXをデザインする上で大切なこと

今回はPXをデザインする上で大切なことを、まとめてみたいと思います。

👂聴くこと

体験をデザインしたい人(相手)がどのような状況におかれているのか。どんな景色を見て、何を感じているのかを知ること。相手に対する「解像度」が大事だと思います。仮説や案があっても構いませんが、まずはオープンに相手を知るために「聴く」こと。A or Bではなく、オープンクエスチョンで。相手の内なる声に耳を傾けることが大切だなと思います。

例えば広報バックグラウンドのメンバーは取材、人事バックグラウンドのメンバーは面談面接など人と話す機会が多い仕事です。組織を知るためにはメンバーのことをよく知らないと始まりません。PXも同じです。なぜその人が今働いてくれているのか、どんな仕事を何を考えて取り組んでいるのかなど、ストーリーは人の数だけあるので、知っていれば知っているだけ引き出しが増え、解像度が上がっていきます。

📝書くこと

一番簡単で身近な体験のデザインは文章だと思っています。
これは余談ですがGoodpatchの長期インターンでも積極的にライティングの業務をまず向き合っていただきます。もらって嬉しい言葉のデザイン、心地よい伝え方のデザインになっているか。相手の目線に立った言葉で、わかりやすく伝えられるか。その全てがデザインであり、デザイナーとしてとても重要なスキルになるからです。良い文章が書ける方は良いデザインができる人が多いように感じています。それは文章力=説明力(言語化+構造化)にも長けているからだと思います。

例えば何かの依頼。なぜその人にお願いしたいのか。どういうことを期待しているのか。依頼内容をシンプルに伝えるのはもちろん、相手が受け取って嬉しいものにできれば相手の心を動かすことができます。
また読みやすいように、文末に絵文字や「!」をつけたり、太字にしたり。携帯で開くことを想定して長文は送らないようにしたり。読み込まなくてもパッとみて情報が伝わるように工夫できているか。こうしたほんの少しのことでも、相手に与える印象は変えられます。

💝カタチにすること

相手が必要としていることがわかったら、それをカタチに起こすこと。ここでいう「カタチ」は何か見た目のあるものだけではなく、機会、場づくり、流れ、態度、姿勢などの意味合いです。カタチにする力は想像力も行動力も伴います。皆さんの周りにこの人と一緒にいて心地よいな、嬉しいな、楽しいなという前向きな気持ちをくれる人は、こういうカタチにする力が上手な人かもしれませんね。

例えば、Goodpatchはデジタルデザイン業界にたくさんの卒業生がいます。スタートアップでデザインチームを立ち上げる人もいれば、大きな企業の新規事業立ち上げや独立する人などそのキャリアは様々です。中にはやっぱりまたGoodpatchのメンバーと一緒に働きたいと思い、Goodpatchの仲間とタッグを組むことなんかもあるそうです。

そんな第一線で活躍中の卒業生たちをお招きして今年、Goodpatchの10周年を記念したアルムナイイベントを行いました。

これはいま在籍するメンバーはもちろんですが、これまでの10年に携わってくれたメンバーにも感謝の気持ちを伝えたい。ということで、10周年をきっかけにアルムナイコミュニティとイベントという場をつくり、感謝の気持ちを伝えさせていただきました。当日は130名も新旧メンバーが一堂に介しました。
ちなみにこのアルムナイイベントなどは事業にコミットしているメンバー中心に企画が行われ、卒業生たちからも声を聞いて実現することができました。

先日行われたアルムナイ忘年会は今年入社した新卒メンバーが中心となって企画をしてくれて、みんなで創り上げたGoodpatchの10年をまとめたアニバーサリーブランドブックを卒業生にもお渡しすることができました。

ブランドブックのイメージムービーもかわいいのでぜひ見ていただきたいです!

📚続けること

一度やり始めた施策を、PDCAを回しながら一定期間、続けることが大切です。
短期で成果が出るものでもないので、一つひとつの積み重ね、続けることでしか価値になりません。組織が病める時も健やかなる時も続ける忍耐が大事です。続けていく中で組織や人はフェーズに合わせて大きく変化します。その波に合わせて、5W1Hを考えてチューニングしていくこと。やっている施策に関して、メンバーからフィードバックをもらい、取り入れてみること。作ったものを壊せる勇気が必要ですね。

例えばGoodpatchの全社恒例のイベントPizzapatch。リモートワーク中心になってからも毎月継続しているイベントですが、また直近参加率が低い状況が続いていました。相手の視点に立って企画していたはずが、いつの間にかニーズやメンバーを取り巻く状況がまた変わっていたのです。
最近は参加方法にグラデーションが持てるような企画を考え、またまたトライアンドエラー繰り返している最中です。


🤝繋がること

体験をデザインしたい対象の人たちとの繋がりを作る、関係性構築がとても大事だと思います。声を生かすためにも、繋がりがあり、そこから建前ではなくリアルな声を言ってもらえる関係性が構築できているのか。
例えば、経営層からメンバー層まで、入社歴や職種の偏りなく、さまざまな視点を行き来して、ちょっとした調整などのハードルが低い関係性が構築できているかどうか。スピード感を持って適切に、話をつけてこられるかなどです。

リモートで入社するのが当たり前の時代。今これが一番難しいことだと思います。業務の縦の繋がりだけではなく、横と斜めの繋がりが何本あるのか。それが業務の質やエンゲージメントにも繋がると思います。GoodpatchのSlackには雑談チャンネルが複数存在しているのですが、業務では直接関わらないメンバーが交わる貴重な場になっています。オフィスで立ち話するようなカジュアルな話が起きたりします。

ちなみにこのベイビーギフトのリニューアルは私がギフトを受け取った実体験を共に、私のSlack上の呼びかけを見てくださったデザイナーさんと共に、総務や社内のパパママを巻き込み実現したプロジェクトです。

さいごに

私はこの秋に、7年ほど務めた広報から人事にキャリアチェンジしました。
会社をデザインすることを続けてしばらく経ちましたが、まだまだやらなくてはいけないことばかりです。Goodpatchは今年で11年を迎えましたが、ミッション「デザインの力を証明する」ビジョン「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」の進捗でいうなら、10%くらいでしょう。1年に1%ずつ、少しずつ前進しています。

最近、新卒採用の面談や面接で学生の皆さんから「御社の課題はなんですか?」と聞かれることが多いのですが、そこでもいつも答えますが正直、課題しかないです。
少し前に一緒にイベントに登壇させていただいたサイバーエージェントのCHO曽山さんから「課題は組織が成長していることの証」という言葉をいただいたのですが、本当にその通りで、課題がなければ停滞に気づいていないのだと思います。

大事なのはその課題を組織の中の誰かのせいにするのではなくて、自分ごと化して少しずつでも取り組んでいけるかどうかと思っています。

事業や組織が好きで会社にコミットしていれば、どんな職種の人でも、PXをデザインできると思います。デザインバックグラウンドではなくても、人事バックグラウンドでなくても、誰でもPXはデザインできると思います。自分の仕事ではないから、という心のブレーキを少し緩めて、一歩踏み込んでみると今よりもっと面白い景色が見えてきそうですね。

もしかしたら相手のこと、チームのことを考えることが好きな方はもうPXをデザインしているかもしれません。

私もまだ見ぬ景色を見るために、一歩ずつ来年も頑張っていきたいと思います。

それでは良いお年を!




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