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物質に閉じ込められた自我が放つもの。

川田龍「Self-portrait」@Bambinart Gallery

何も知らず、事前予約制のある展示を見るために
ちょうど上手く時間を使えるだろうと思われた
アーツ千代田3331に出向き、偶然拝見することとなった。

しかも、初日だった。

川田さんは
1988年、新潟県生まれ。2015年に東京造形大学美術科絵画専攻を卒業し、東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻(壁画第二研究室)に進学。
2018年に修士課程を修了している。

その東京藝術大学大学院在籍中に展示を何度か拝見した。
それはほぼ一貫して男性像で、裸であることも多い。
ときにそれはあたかもイエス・キリスト像のようだった。

今回の展示は、自画像がテーマになっている。
川田さんのステートメントを引用させていただく。


「これまで西洋絵画の象徴的な人物や静物のモチーフを身近な友人や物に置き換えて描いてきました。それによってモチーフの意味性を失わせ、物質的な絵画として純化させることで本質を探っています。
本展では、自画像という制限を課すことで、絵画をよりシンプルなコンテクストの俎上に載せ、改めて問い直したいと考えています。」(川田龍)

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メインの作品として展示されていた
だらりと座った男性の裸婦像には、
2015年の作品として、ほぼ同様の構図のものがある。
実際に拝見したことはないのだが、
今回のものはそれを上書きして描かれたものなのだろうか。
あるいはあえて同じ構図で新たな一枚を描いたものなのだろうか。
素人には推察のしようもないが、
ほぼ五年の月日を経て、もう一度同じ構図がたち現れてくるところに
作家の、何らかの意図があるのだろうと思う。

川田さんの作品を拝見するとき
私はどうしも距離を置きたい感覚になる。
が、なぜか実際はどんどん近寄って見てしまう。

そこに描かれているのは私ではない(そう、ポートレイトだからそれは自明のことだ)と抗ってみるのだが、いや、待てよと考え始めてしまう。
そんな感覚なのかもしれない。

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