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音のない夜のワルツ

【堂々巡りの夜のワルツ】多田恋一朗さん新作個展

多田さんの作品を初めてみたのは、藝大の卒展だった。
少女のとらえどころのない表情を追いながら、
次の部屋に移ると、そこには海が広がっていて
本当にハッとしたのだ。
そのハッとしたことの意味はよくわからない。
でも、それ以来、多田さんの画は常に頭の片隅にある。

今回の展示では、
女性をモチーフとしたポートレイトのほかに、
馬や手やドーナツ?、それに得体の知れない男性?、
スキンヘッドのピエロ?なども描かれていた。
彼女たちは淡い色合いの中から、虚ろに空を見ていたり、目をつぶったり。
微笑んでいる女性さえ、いた。

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そしてそれらの合間に、あの海があった。

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これらの画たちは
けっして現実のようには思えないのだけれど、
これは知っている、というような錯覚を起こさせる。

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そしてこの静けさは何だろうといつも思う。

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