透けているけど、明らかにそこにあるもの。
川端さんの絵は藝大の学部時代から拝見していて
いつもその精緻な鉛筆の表現に驚嘆してきた。
しかしながら、川端さんはただ正確に対象物を描くということではなく
人と人(あるいは対象となるもの)との間に横たわる相互作用の不全を描いている印象がある。
歪んだ(あるいは歪められた)目元。その視線は行く先を失い、
見るものもキャンバス上の人物の目線を捉えることはできない。
やがてその視線が捉えたであろう人物たちが、霞の向こうに現れる。
けっして焦点が合うことはなく、ディテールは定かではない。
が、そこはかとなく〝らしさ〟が伝わってくる。
この解像度の低さこそが、ある意味、日常なのではないか。
曖昧さの中で、ときにのりしろが広がり、誤読が生まれる。
完璧な共有などありえないからこそ、クリエイティビティがそこを補う。
今回は、ガラス片らしきものを通して見たと思われる空模様が油彩で描かれている。
色彩のある人物以外というのが、川端さんの作品としては新鮮だ。
この青を貴重とした川端さんの空の絵を受け取るように
高山夏希さんの『water mirror_23』という作品がある。
このあたりが〝透明〟というコンセプトワードに絡んでくる接点なのかもしれない。
高山さんは、VOCAで拝見したときの印象が強くて、
もっと造形的なものを想像していたのだが、意外と平面的な印象だった。
しかし水面は幾層にも描かれていたし、単なるペインティングとは違う
存在感は放っていたが。
川端健太×高山夏希 二人展「透明な交点」
2023年6月17日〜7月23日
GALLERY ROOM・A
いいなと思ったら応援しよう!
サポートしていただけたら、小品を購入することで若手作家をサポートしていきたいと思います。よろしくお願いします。