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透けているけど、明らかにそこにあるもの。


ジェスモナイトという支持体に、鉛筆とアクリル絵の具で、おそらく風景が描かれている。ピントはどこにもあっていない。
川端健太《untitled》2023 H35cm×W35cm×D2.0cm

川端さんの絵は藝大の学部時代から拝見していて
いつもその精緻な鉛筆の表現に驚嘆してきた。
しかしながら、川端さんはただ正確に対象物を描くということではなく
人と人(あるいは対象となるもの)との間に横たわる相互作用の不全を描いている印象がある。
歪んだ(あるいは歪められた)目元。その視線は行く先を失い、
見るものもキャンバス上の人物の目線を捉えることはできない。

やがてその視線が捉えたであろう人物たちが、霞の向こうに現れる。
けっして焦点が合うことはなく、ディテールは定かではない。
が、そこはかとなく〝らしさ〟が伝わってくる。

ジェスモナイトの上に鉛筆とアクリル絵の具で、人物の立ち姿が描かれている。どこにもピントは合ってはいない
川端健太《untitled》2023  H38cm×W22cm×D2.0cm

この解像度の低さこそが、ある意味、日常なのではないか。
曖昧さの中で、ときにのりしろが広がり、誤読が生まれる。
完璧な共有などありえないからこそ、クリエイティビティがそこを補う。

今回は、ガラス片らしきものを通して見たと思われる空模様が油彩で描かれている。
色彩のある人物以外というのが、川端さんの作品としては新鮮だ。

木製パネルに綿布、油彩でガラス片を通して見上げたような空が描かれている。雲は歪み、空の青にも変化がある。
川端健太《untitled》2023   H60.6cm✕W60.6cm✕D2.5

この青を貴重とした川端さんの空の絵を受け取るように
高山夏希さんの『water mirror_23』という作品がある。

直径90cmの円盤状のパネルにアクリル絵の具とレジン(樹脂)で幾重にも模様が描かれている。
高山夏希《water mirror_23》⍉90(90cm✕90cm)✕D3cm

このあたりが〝透明〟というコンセプトワードに絡んでくる接点なのかもしれない。

展示風景。川端さんの作品2点と高山さんの作品3点が見える
「透明な交点」展示風景

高山さんは、VOCAで拝見したときの印象が強くて、
もっと造形的なものを想像していたのだが、意外と平面的な印象だった。
しかし水面は幾層にも描かれていたし、単なるペインティングとは違う
存在感は放っていたが。


展示会場 入り口 透明な交点 川端健太✕高山夏希 2023.6.17(土)ー7.23(日)
ROOM・A 入り口


川端健太×高山夏希 二人展「透明な交点」 
2023年6月17日〜7月23日
GALLERY ROOM・A


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