コマとコマの間に潜み込むもの。
アートプロジェクトハウス「Open Letter」で開催されている〝最後の手段〟の「NEW首都高」という展示を見に行った。
〝最後の手段〟とは何か。いや、誰か。
〝最後の手段〟は、有坂亜由夢、おいたまい、コハタレンさんの三人が二○一○年に結成したビデオチームだ。手描きのアニメーションと人間や大道具小道具を使ったコマ撮りアニメーションなどを融合させ、有機的に動かす映像作品がその特徴。人々の太古の記憶を呼び覚ますのが狙いだという。
〝最後の手段〟というユニット名は、行き先の定まらぬ三人が現状を打破するためにこれ(映像)が最後の手段だと覚悟を決めたことから付いたらしい。ギャラリーの隅に置かれた端末に流れているループ映像から時折「ワレワレハ、サイゴノシュダンデアル」との宣言が流れてくる。
おびただしい数の手書きの原画やコマ撮りの映像とプロップスたち。それらは首都高を模したハイウェイで緩やかに結び付けられ、不思議な空間ができあがっている。思いもよらぬところにキャラクターが潜んでいたり、どう言っていいのかわからないが、なんだか一筋縄ではいかない展示だ。
奥の部屋で流れていた過去作に釘付けになった。部屋の中もあらゆるものがコマ撮りで動いていく。やり直しの効かない即興性がそこにある気がした。日常が私たちの預かり知らぬところで蠢く。すべてのものに命があるようで、少し怪しげな部屋の様子。コマとコマのあわいに何かが入り込み、モノたちはまるで付喪神が宿っているかのように命を帯びる。
これからも〝最後の手段〟の作品に出合い続けたい。
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