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三様の旋律、歌う遺伝子たち。

【2019上野芸友賞展「singing gene 」】
東京藝術大学美術学部 絵画科油画専攻4年
Yeji Sei Leeさん | 北上貴和子さん | 木村文香さんの展示。

「Where I Belong ll」

Yeji Sei Leeさんは、初個展のときから拝見している。
そのときに床置で展示してあった「Where I Belong ll」が
今回は台座の上にあり、何かぐっと伝わってくるものがあった。
そして、「Self-Reflections」。藝祭では高い位置にあり
見上げるしかなかったのだが、ようやく目線の高さで見ることができた。
(個人蔵なの、はじめて知った!)
独特の世界観。民族とか民衆といった言葉が思い浮かぶ。

「Self-Reflections」


「海鳴りの50音」


北上貴和子さんには、仏教のバックグラウンドがあるようだ。
それが今回の「海鳴りの50音」という展示にどう滲んでいるのかはわからないが、
(そうであるような気もするのだが)
白い石たちが室内と屋外に対比されるように置かれている。
整と乱
静と動
支配と暴動
窓のそばにはその境界となるような石の積み重ねがある。
それはほんの少しばかり“石花”のようでもある。

「対話」

木村文香さんは、2019年の1月にアーツ千代田3331で開催された
藝大油画三年の進級展「NI/O」展で、水を飲み続けていた人だ。
「体内の水を全て入れ替える」という作品で、31.2Lの水が素材として表記されていた。
その木村さんが、今度は数千匹のアカムシを指で直に潰している。
(その部分は映像で流れている)
そして、潰した虫たちを和紙に貼り並べて見せている。
「対話」という作品。
虫たちの死は表情豊かで、木村さんは虫たちとのエネルギー交感を実感したという。
それが「対話」という画題の意味だ。

この芸友賞展示は、学内で短い期間だけ開催される。なかなかハードルが高いが
見る価値はある。2019良かったな。

<芸友賞>
1991年、東京藝術大学の公開講座を受講した有志が、藝大油画科の高い専門性と総合的な美術教育をより多くの社会人に広めたいと、油画科の協力を得て「上野芸友倶楽部」を創立し、1999年に特定非営利活動法人上野芸友倶楽部となる。2019年、会員数は169名。
東京藝術大学油画教授三名を顧問に迎え、アートスクール、絵画教室を運営。
この特定非営利活動法人上野芸友倶楽部が油画の学部・院生の成績優秀者に「上野芸友賞奨学金」を授与し、その発表の場が「上野芸友賞展」である。

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