誰かに違いない「彼女」たち。
江口寿史 イラストレーション展「彼女」
千葉県立美術館に江口寿史イラストレーション展「彼女 〜世界の誰にも描けない君の絵を描いている〜」を見に行った。
いやぁ遠かった。
約500点もの作品が展示されている。
いろいろと引っかかるものはあったのだが、
“ライブドローイング”のドキュメンタリー映像がまずもって面白かった。
目から描く場合があるかと思えば、髪から書き始めるときもある。
どの絵も江口寿史の中にある“彼女”なのだが、
ペン先(おそらくボールペンの類)の微妙なタッチを繰り返していくうちに
“彼女”の中に個別性が表れてくる。
そんな“ライブドローイング”の映像をずっと見ていた。
たくさんのイラストレーションの中で、個人的には
サラ・パレツキーの単行本用に書かれたシリーズが懐かしかった。
サラ・パレツキーは、ほぼ読んでいるのではないかな。
ここで再会し、そうだ、江口寿史の表紙だったと思い出したのだ。
それから、やっぱり大滝詠一の「A LONG VACATION」40th トリビュートイラスト。ここらあたりは、まぁどうしても刺さってしまうわけです。
さらに大きなライブドローイング作品。
この大きさ(表示はなかったが感覚として1500mm四方くらい)を
ライブで描いたとはすごい。
『マスクをしていた耳がいたい』
『深呼吸の必要(二階堂ふみに捧ぐ)』
この二点が気になった。深呼吸の必要って、長田弘の本にあったような気もする。
長い時間の中で描かれてきた膨大なイラストレーションは、
千葉県立美術館のように遠くもあり、
本やレコードのように身近でもあり
心のなかにマッピングされる様相は様々だった。
江口寿史イラストレーション展
「彼女 〜世界の誰にも描けない君の絵を描いている〜」
千葉県立美術館
2022年10月29日〜2023年1月15日