「薬局人間」は正しい生き方だろうか〜読書感想〜
薬局で働くことが自分にとってのすべて。なんて言える日が来るのだろうか・・?
先日、『コンビニ人間』を読みました。
芥川賞作品ということでしたが、特に意識せず読んでいました。
コンビニとよく比較されるのが「薬局」だと思います。出店数などでよく数字が出ますよね。
本作を読んでみると、コンビニの中で起こっている出来事と、薬局の業務の共通点があるような気がしました。
「今日はあの人が来局する日だから、〇〇錠は多めに注文しておこう」
とか
「薬をお渡しするときのシートの向きは揃えよう」
など。スーパーやサービス業でも同じかもしれません。
主人公の恵子は18年コンビニバイトをしていて、どこか「普通」の生活から離れ、コンビニに求められるスキルを忠実に実行することが自分の存在と考えている。コンビニにいるうちは必要とされている存在であると感じている。という部分はすごく共感するところでした。
私も10年以上薬局で管理薬剤師をしています。
そうすると、薬局を「回す」ために自分は存在するんだと考えるようになっていました。体調を管理したり、寝る間際まで明日の業務のことを考えたり。夢で服薬指導をすることはしょっちゅうです(笑)
本に出てくる恵子は、白羽さんという男性に出会い、ちょっと不思議な経験をします。そして一度コンビニバイトを辞めることに。
やめた途端に今まで必要とされていた「コンビニ」という柱を失い、廃人寸前になっていく。
そして別の面接に向かう途中に立ち寄ったコンビニで彼女はコンビニの「声」を聞く。
「私はやはりコンビニ人間なんだ。」と気付く。
という描写も心に深く刺さりました。
仕事に愛される人になってみたいと思う反面、そんなに頑張ったらどこかで折れる自分もいるんだなーと思ってしまいますね。
今回も読書コミュニティ「Lectio」で本書の読書会がありました。
小説の読書会は主人公目線や読者目線、脇役目線などがそれぞれあって、すごく楽しい時間です。
今度はどんな本との出会いがあるのかな・・。
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