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新しい曲2020(インストゥルメンタル)
正月早々に曲を作り始めて、20日までに習作を8曲作った。全部インスト。
下のプレイリストに6曲入っているのでBGMにどうぞ。サウンド命なので、できればスマホスピーカーではなくてヘッドフォンや良いスピーカー推奨。
上の音源には歌はおろか、ギターすらほとんど入っていない。唯一2曲目の「Ambient for STEINBERGER 2」でギターらしからぬ音をギターで弾いてる。このガリガリ君みたいな形のギター。
それはさておき。
インストを作りたくなったきっかけは、十数年ぶりにインストールした「Ableton Live」というDAW(Digital Audio Workstation=音楽制作)ソフト。Yellow Magic Childrenコンサートへの参加とミックス作業でサウンドイメージの解像度が地デジ→8kくらいに上がったので、機材の習得も兼ねて、目的もなくインスト曲を作ってみようと思った。
コンピューターで音楽を作る時は、当たり前だが画面を見る。DAWの画面では曲の時間軸に沿ってデータが左から右に流れていく。これは楽譜の流れを模したもの(実際にオタマジャクシが表示されるモードもある)。
DAWはもともとテープレコーダーを模して作られたものだったので、その名残もある。例えば再生ボタンの三角アイコンや録音ボタンの赤丸アイコンがそれ。
以前スチャダラパーのBoseくんが「コンピューターって左から右に音(の画面)が流れるけどさ、音楽のイメージって前に進むものだからすげー違和感があるんだよ」と、そんな趣旨の話をしてた。オルガン教室やブラスバンドの経験がある自分にはまったくなかった感覚だから、ハッとした。
ヒップホップアーティストは楽譜は見ないし、黎明期にはレコードのターンテーブルで「演奏」していたのだから出自が違う。フリースタイルに象徴されるように曲の構成も流動的で即興的。
Ableton Liveは他のDAWとは一味違う。一般的なテープレコーダーを模した機能とサンプリングマシーンが合体しているイメージ。90年代のヒップホップアーティストも多用していたサンプリングマシーンは、(レコードなどの音源から)サンプリングしたフレーズや音の破片を繰り返し再生することで、元の音ネタを再構築する。確かに面構えも正面に対峙する感じ。
根本的な発想が違うAbeleton Liveと向き合うと、今までの曲作りの「手癖」が通用しなくなった。操作ミスで思いがけない方向に音が変わってしまっても、面白ければそのまま残したり。
新しい機材が道具として馴染むまでにはかなり時間がかかる。まだ操作を覚えるのに精一杯で、利き手じゃない方の手で文章を書いているようなもどかしさを抱えながら作る日々。打ち込みのスキルを磨くのは楽器の練習と似た感覚で、そういう地道な鍛錬で何かを身につけるのが苦手じゃない性格で良かったと思う。習作たちは作品と呼ぶには取り留めもないが、もう少ししたら歌も載せてみるつもり。
たまに、打ち込みに疲れるとアコギで弾き語りしたりている。長年磨いてきた「芸」だから利き手のように自由だし、歌っていると余計なことを考えなくなって頭の中がリセットされる。しばらくはこのデジタル⇔アナログ往復で。
30周年を振り返る長い螺旋階段を登って、一段上のフロアにたどり着いた。
そこにはまっさらな地平が広がっていた。
また地図を持たずに歩いてみるのだ。
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