CDの25年/幻の25曲
今年出す25周年記念アルバムは、25曲入りにしようと思っていた。正確には13曲くらいの楽曲と、12曲のインタールードやSEで構成しようと思っていた。
それにはいくつか理由があって。
・25周年だから
・インタールードのストックがたくさんあるのに音源化の機会がないから
・「AWAKENING」でやろうとしてうまくできなかった(受け入れられなかった)コンセプトを完遂させるため
などなど。今書き連ねてみても、たいした理由じゃないことがわかる。
中でも一番大きな動機は、「CD・アルバムというフォーマットをメインでリリースするのなら、その中で最大限遊べないだろうか?」という思いだった。「Bye Bye CD」という曲をCDに含める、というアイロニーが2014年のリアルとして面白いんじゃないか?という思いつきだったり。
僕の根底にある発明家気質は、時々実験をしたがる。そして時に、SSWとしての「音楽を伝える」命題からかけ離れてしまうことがある。25曲入りのデモを聴いていい反応を示さなかったプロデューサーのモレーノ・ヴェローゾは、そのあたりを鋭く見抜いたんだと思う。
結果、「TRIO」は今までにない、風通しのいいすっきりしたアルバムに仕上がった。僕の好きなブラジル音楽はどれも簡潔だ。直接的なブラジル音楽の要素が強いわけではないけれど、ブラジルの空気がアルバムを満たしている。たくさんのインタールードがボツになったおかげでもある。
僕がデビューした1988年は本格的にアナログ盤からCDヘの移行が始まった時期で、デビューアルバムはCDがメイン、他にわずかながらアナログ盤とミュージックカセットも発売されていた。ソニーは既に1988年にはアナログ盤の製造を中止していたので、今思えばラッキーだった。僕の25年は奇しくも、CDと平成と歩みを同じくしてきた。
まだ Bye Bye CD というには、少し気が早かったかな。
いいアルバムができてよかった。
短いインストはなかなかCD化できないけど、まあ、いいか。