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A-UNの呼吸で

2月8日、ずっと楽しみにしていた大阪のイベント「NEXT TO 湯 」は、インフルに罹ってしまって辞退せざるを得なかった。今までの音楽人生で体調不良でライブをキャンセルしたことは2回ほどしかなくて、痛恨の極み。本番直前の緊急事態にも関わらず、崎山蒼志くん(浜松出身)がピンチヒッターで出てくれることになり、イベントは無事行われた。関係者各位の素早い対応と清水音泉の的確なサポートに感謝。もうすぐなくなってしまう味園ユニバース、出たかったな。リハーサルもやっていたので、白根くんとは今度また必ず。

幻のフライヤー

風邪の症状がギリギリ収まった直後に「ダージリン・ホステッド・ライブ」のリハがあった。2018年のアルバム「A-UN」録音時と同じオールスターバンドによるスーパーセッション。まだ咳が残っていたけど、多忙なメンバーの予定が合うのはそこだけ。どうしてもその日に練習しなければ。正直、声が出るか不安だった。

★(Vo/G)高野寛
≪Hosted by ダージリン≫  (Key)Dr.kyOn  (G)佐橋佳幸 
★Guest:(Ds)屋敷豪太  (B)高桑圭 

手練のメンバー、リハは全曲2回ずつくらいさらえばすぐ出来上がる。みんなずっと冗談を飛ばしている。全員がコーラスでハモれるのが最高に贅沢。「A-UN」というアルバムのタイトルは「阿吽の呼吸」から名付けられた。スタジオライブ状態で一発録りされたその雰囲気は、まさにバンドの呼吸のなせる技だったし、5年以上経った今も変わらなかった。歌に完璧に寄り添ってくれるバンドに乗せられて歌っていたら、自分でも驚くくらいちゃんと声が出ていた。

本番の2月16日は、春のような暖かさ。ダージリンの二人は金・土・日の3日連続ライブの最終日(全部で四十数曲!)という超人的スケジュールを平気な顔して楽しんでいる。楽屋ではものすごい量の差し入れに囲まれながらずっと和やかに談笑。そのままの雰囲気でステージに。

5人の関係性はとても長く深くて、MCでもつい昔話が多くなる。高桑くんのデビュー時のバンド、ロッテンハッツのプロデューサーが佐橋さんだし、僕は1996年に豪太さんのプロデュースでシングル「KAORI」を作っているし、kyOnさんとはボ・ガンボス時代から対バンしたり、僕は高桑くんとkyOnさんと幸宏さんのライブで何度も共演しているし、佐橋さんとは1999年のシングル「Bye Bye Television」をプロデュースしてもらって以降、TinPanのライブや細野晴臣イエローマジックショー、小坂忠さんのセッションetc...何度も何度も一緒にやっている。他にもとても全部は書ききれないくらい、いろんな場面で30年以上音を奏でてきた仲間たち。

本番もいい歌が歌えたと思う。佐橋さんと同じ1964年のストラトをぶら下げて、ソロもバリバリ弾いた。終演後もず〜っと話は尽きなくて、またやりたいね、と握手しながら解散。

気がつけば、2019年末の30周年ライブ以後初めての、フルバンドのライブだった。テレパシックな意識の通信をしながらセッションするあの感覚は、一流のバンドメンバーとしか味わえない贅沢で、その中で自分の声やフィジカルが目覚めるような貴重な体験だった。

また、やろう。

*2/22まで配信アーカイブ残っています。ぜひ。
https://eplus.jp/sf/detail/4266870001-P0030001

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高野寛のnote
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