2021.2.17(水)生まれ変わる
風は少し強かったけれど日差しは温かい一日。
午前中にMUBIで短い映画を見ようと思って、サムネイルだけで「END OF SUMMER」というモノクロの映画を選んだ。南極の風景をただ淡々と、8mmフィルムで撮っている作品。音楽も良い。皇帝ペンギンが人に見えてくる。この人達は何を思って、生きているんだろうなんて考える。否、何も考えていない。ただ生きてる。人類にはできない営み。70年代くらいの映画だと思っていたら、2014年の作品だった。いい30分間だった。
ラジオを小さい音で聞いていたら、既視感のあるメロディと過剰なサウンド、今っぽい転調のおしゃれな日本語の曲が流れてきた。音が小さくて、誰が歌っているのか分からなかった。MILLENNIUM PARADEの新曲?と思って調べたらまさかの星野源くんの新曲で、ほんとに驚いた。
星野くんとは、2回だけがっつり仕事をしたことがある。1度目は2013年のアルバム「Stranger」で「生まれ変わり」のコーラスアレンジとコーラスで参加した時。
「生まれ変わり」の詞にはこんなフレーズがある。
「生まれ変わりがあるのなら 人は歌なんて歌わないさ」
「Stranger」を録り終えたスタジオで星野くんは病に倒れ、しばらく休養する。2度目は、その時キャンセルされた武道館ライブの2014年の振替公演「Stranger in Budokan」でバンマスを勤めた時。
その後の破竹の快進撃は、皆さん御存知の通り。
最新インタビューで星野くんが「生まれ変われるのは、生きてる間だけですからね」と語っていた。「創造」は「生まれ変わり」の再定義の曲だったんだ。
今まで星野くんはサウンドのスタイルを頻繁にアップデートしてきたけれど、この曲は確かに今までとは違う次元に到達してる。
僕も一曲だけ「生まれ変わり」という言葉を歌詞に織り込んだことがある。
「この体の細胞 3年も経たないで 全部生まれ変わるなんて不思議だね」
冬の間色のなかった緑道に、少しずつ色彩が戻ってきた。
春の息吹、虫たちも生まれ変わる季節。
コロナで世界が変わっていく。
ならば、俺たちも踏ん張って、生まれ変わろう。そう思えた。
*pics by H.Takano with SIGMAfp + 65mmF2.0.
*このポストは、高野寛オフィシャルサイト「HAAS」の日記からの転載です。オフィシャルサイトではほぼ毎日日記を更新しています。