【自宅スキーTr】06 片側性トレーニングがスキーパフォーマンスを高める
スキーヤーの方へのトレーニングサポート時に、私が気をつけていることについて紹介します。ぜひ皆様のトレーニング効果が向上できたらと思います。
1、両側性エクササイズと片側性エクササイズを組み合わせる
下半身のトレーニングプログラムをデザインする時に大切にしていることです。
簡易的なトレーニングプログラムを作ってみました。
スクワットが両側性エクササイズ、
サイドプランクw/ヒップアブダクションとリバースランジが片側性エクササイズとなります。
この様に両側性と片側性を合わせて行うと良いです。
リバースランジとはこの様なエクササイズです↓
2、何故、組み合わせるのか?
1、左右差の解消
比較的左右対称に動くスキー競技はもちろんのことですが、左右非対称のゴルフやテニスなども、コンディショニングの観点から必要になってきます。
また同じスノースポーツでも、スノーボードは左右非対称のスポーツです。
例えば、ヒールサイドのターンでの荷重動作は股関節がメインですが、トゥサイドのターンでは膝関節の屈曲がメインとなります。またこの際に、前後バランスも変わってきますので、スノーボーダーの方にも片側性エクササイズは重要になると思います。
私は片脚の出力の違いや動作の差を確かめてからプログラムを作ります。
また、アルペンスキーヤーの障害予防の観点からも左右の脚の出力の違いや動作の差を埋めることは必要となってきます。⑴
2、中臀筋の関与
滑走時、斜面に合わせて股関節が外転位・内転位となっていないと外脚と内脚に荷重できません。
左右の脚の長さが同じままだと内脚にしか荷重が出来ず内倒してしまいます。
下記のミカエラシフリン選手の映像が分かりやすいです。
股関節の外転には、お尻の横にある中臀筋や小臀筋が関与します。
最初にお見せしたプログラム例に入っていたサイドプランクw/ヒップアブダクションでは中臀筋の高い筋活動量が報告されいます。(2)
3、片側でも筋力向上が可能
ラグビー選手33名を対象とした研究ですが、下半身の片側のエクササイズと両側のエクササイズを同じボリュームで、8週間の期間、週に2回トレーニングした場合、両者を比較してもスクワット1RMの向上数値に有意な差がなかったと報告されています。⑶
もちろん、両脚でトレーニング行うメリットもあります。
左右差に気づきやすかったり、バーベルを利用した高重量でのスクワットでは体幹筋群の強化やホルモンの適応を促せます。
特に腰痛やシーズン中など脊柱に大きな負担をかけたくない時は、片側性トレーニングで下半身の筋力を維持するのには向いているといえます。
また、トレーニング経験の浅い人は、「片側で発揮された力の和が両側で同時に発揮された力よりも大きくなりやすい(右+左>両方)」と言われています。⑷
実際に、現場でもよく見受けられます。
両脚でスクワットをするよりも片脚ずつの方が力が発揮できているかもしれません。
4、トレーニング負荷のコントロール
スクワットはシンプル且つ筋力向上に適したエクササイズです。ただ、高重量を扱えるからこそ、脊柱への負荷は増します。
腰痛を抱えている方などには、注意が必要です。
特にシーズン中はスキーを滑るだけでも腰部へのストレスが増します。
その際、ランジやステップアップなどの片側性のエクササイズを行うことで効果はそのままに、脊柱への負荷を減少させることができます。
筋力維持を目的としたシーズン中のトレーニングプログラムや腰痛を抱える方には片脚エクササイズを積極的に取り組めると効果的です。
3、まとめ
いかがでしたか?
スキーヤーやスポーツ選手の方は片側性エクササイズを一つのスパイスとしてトレーニングプログラムに加えて上げると良いです。
トレーニング実施時には、真後ろから映像を撮影することで、肩や骨盤などから左右の違いに気付きやすいです。
このような考えに基づいて私はトレーニングを提供しています。
ぜひ試してみてください。
<参考文献>
⑴Limb symmetry index in competitive alpine ski racers: Reference values and injury risk identification according to age-related performance levels
⑵Boren K, Conrey C, Le Coguic J, Paprocki L, Voight M, Robinson TK. Electromyographic analysis of gluteus medius and gluteus maximus during rehabilitation exercises.Int J Sports Phys Ther 6: 206–223, 2011
⑶Specificity and Transfer of Lower-Body Strength: Influence of Bilateral or Unilateral Lower-Body Resistance Training.Appleby, Brendyn B.: Cormack, Stuart J.; Newton, Robert U.
⑷Kurt Mullican, Ramsey Nijem:Are Unilateral Exercises More Effective Than Bilateral Exercises? Strength and Conditioning Journal, Volume35, Number5 pages41-42
日々の活動で考え、感じたことを共有します!! 大学や高校の部活動にてフィジカルコーチ(トレーナー)として活動しています。都内のジムでパーソナルトレーニングの指導も行ってます。特にスキー選手を指導する機会が多く、私自身も元アルペンレーサーです。