遺贈と死因贈与 不動産における「差」
昨日、遺贈と生前贈与の違いについて記事にしました。
そこでは書かなかったものの、この二つは「登記申請」の際にもまた、大きな差があることが特徴の一つです。
このこともまた、どちらを選ぶかの判断材料であると思い、記事にすることにしました。
不動産の登記を行う際には、登録免許税という税金が課されます。
この税金は、どのような理由でその不動産を入手したかにより、大きく変動するという特徴があります。
原則として、所有権を移転した時に課される登録免許税の割合は、固定資産評価額(市町村によって定められた金額)に、1,000分の20をかけたものが基本的な金額になります。
売買が、これに該当する典型的な例となります。
(建物で、住宅用建物として軽減措置が受けられる場合がありますが、それは今回除外します)
ですが、政策的に一定の所有権移転の場合は、これよりもかける割合が少ない場合が存在します。
典型例として相続があり、固定資産評価額に1,000分の4をかけたものが、課される登録免許税の額となります。
そして、遺贈と死因贈与ではこの登録免許税にかける割合が異なります。
注記:以下の文章は「推定相続人に対する」ものの事例です。
推定相続人以外に対しては、どちらでも1,000分の20をかけたものが適用されるため、ご注意ください。
初出において誤解を招く表記であったことを、お詫び申し上げます。21時45分追記
遺言は、相続と同様に扱われます。
つまり、固定資産評価額に1,000分の4をかけたものが、課される登録免許税の額になります。
相続と同じ扱いを受けていると言えます。
一方死因贈与は、固定資産評価額に1,000分の20をかけたものが、課される登録免許税の額になります。
一般的な所有権移転と変わらない金額であり、遺言に比べて5倍もの登録免許税を納める必要があります。
前回の記事で述べたように、死因贈与は本質的には贈与であり、そこに贈与を行ったものが亡くなったときに効力が発生するという条件が付されたものです。
そのため、登録免許税の計算においても贈与と同じ扱いを受け、1,000分の20をかけるという計算式になるようです。
どちらかというと、これは行政書士というよりも、司法書士の方が詳しい部分かもしれません。
ですが、行政書士として「どちらを勧めるか」というときに、覚えておかなければならないことの一つとして、頭に入れておく必要があると考えます。