川端康成「雪国」「眠れる美女」
私は、川端康成というと日本文学の巨匠のようなイメージがあり、雪国の冒頭の「トンネルを抜けると雪国だった」という言葉しか知らなかったのですが、読んでみるとその言葉の1つ1つに魅了されました。
まず有名な冒頭「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」だったのですが、その後に「夜の底が白くなった。」と書いてあります。
夜の底が白くなった。なんて素敵な言葉でしょうか。
地面が白くなった。ではなく、夜の底がと表現する事が素晴らしい!と1ページ目から川端康成に心を奪われます。夜の底ですよ。
川端康成は皆様もご存知の通り、ノーベル文学賞を受賞した作家です。1972年(昭和47年)に72歳で亡くなったので、昭和に活躍した作家さんなのです。
私はもっと古い時代のイメージを持っていたので、意外と最近だったのねと思いました。
雪国は有名なので皆様も読んだ事があると思いますので内容説明はしませんが、とにかく表現が素晴らしく言葉がいちいち(変な言い方ですね)綺麗。
状況説明などが長くないのに、とてもわかりやすく書かれていてイメージしやすい。映像がすぐ浮かぶ感じでした。
これは面白いと、次に「眠れる美女」を読みました。
眠れる美女は老人が主人公なのですが、友人に秘密の宿があると紹介されて行ってみると、部屋の布団には一糸まとわぬ美女(16歳から20歳ぐらいの)が睡眠薬で眠らされていて、添い寝をして朝まで泊まれるという宿だったというお話です。もちろん美女は翌日の朝まで起きません。
しかし宿の女将には、女の子の口の中に指を入れる事も駄目ですと言われてしまいます。
老人は何度もその宿に通っては、眠っている美女の匂いを感じながら、過去の女性遍歴を次々と思い出していきます。
川端康成、すごい!しかし、寝ている女の子たちの寝息や動きの表現がリアルで、寝ているだけでエロティック。またしても映像を見ているような気持ちになりました。
さすが巨匠です。
雪国は定期的に読みたくなり、何度も読んでいます。これからもまだ未読の川端康成を色々読んでみたいと思います。
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