もうこれが最後の恋だと思うあなたと高村英


なんか80年代の歌謡曲のタイトルのような感じになっちゃったなあ……


 
 見るお仕事しているけど、基本的には普通の相談が圧倒的に多いので、たまには恋愛の相談を受けた時によく高村が言うことを記事にしてみようかなと思います。

もうこれが最後の出会いかなって思って……
 
ご安心ください、出会えます。(完)












 危ない、いきなり完結しちゃうところだった。

 今、幸せな恋をしていなくて、本当は離れるべきだって分かっていて、でももういろんなことを考えて、

「自分にはこの人が最後なのでは」

 と思っている方が多い印象です。

 これ、年齢問わず、なんですね。


 私、高村英、よく人に話しかけられるんですが。
(これ、冗談ぬきに真剣な悩みなので、いつか記事にしたいくらいですよ全く)

 たまたまコンビニで、友人が買い物している時に外で立って待っていた時に、隣でタバコを吸っていた貴婦人に、
(ちなみに高村はタバコは吸わないんですけど、この時はたまたまコンビニにある灰皿のところで待っていたんですわ)

貴婦人「ねえ、ちょっと良い?」

高村「ええ? はい、なんでしょうか?」

貴婦人「私ね、過去に六回、結婚したの」

高村「六回!?」

 という出会いがありました。

高村「え、え、え、めっちゃモテるじゃないですか! すごい!」

貴婦人「違うのよ」

高村「ええ?」


貴婦人「私、寂しいの嫌だから、自分からガンガン行っちゃうのよね」


 その方はその当時、結婚していなくて、六回目の離婚を終えて、今はまた新しい恋人と半同棲している状態でした。

 失礼を承知で言わせてもらえるなら、その人は決して若くはなく、私の祖母と言っても過言ではない年齢の貴婦人だったのですが、まあーーーーーアグレッシブ。


 しかも年齢を考えると、出会いの場って私たちよりハードルが高そう。

 あまりにも興味が湧いたので、詳しく聞いてみてしまった。


高村「どこで出会うんですか」

貴婦人「どこでもよ。今、あなたに声をかけるみたいに、フラッと声をかけて、相手の反応が良かったらそのまま連絡先を交換するし、例えば友人と旅行に言って、あえて大衆食堂みたいなところで食事をして、隣の席の方に声をかけたり。友人の知り合いだったり、職場だったり。飲み屋だったり。いろいろね」

高村「いやコミュニケーション天元突破してませんか?」

貴婦人「良いじゃない。どうせ一期一会の出会いかもしれないし、それで恋人になれたら儲け物でしょ? 恥かいたって、大したことじゃないのよ。それより、その時、自分が幸せか、その人を好きかの方がずっと大事じゃない」

高村「なんで離婚したんですか」
(今思うとぐいぐい聞いたな)

貴婦人「よくある価値観のすれ違いとか、DVとか、お金とか、まあいろいろね」

高村「でも、離婚したり、好きな人と別れたりするの、辛くないですか?」

貴婦人「(はー、とタバコを吐いて)そこに留まっているほうが嫌じゃない? 初めは好きだと思っても、途中で違うな、と思った時に、もうすでに相手も私も不幸なのよ」


 高村は、それが痛いほど分かるので、黙って聞いていた。

貴婦人「互いの理想をぶつけ合っているだけで、そこに相手に対する思いやりなんてないのよ。私だけなじゃく、相手もそう」


 高村は、見える体質故に、「この人と最後まで一緒にいれらないけど、今、すごく好きだらか、一緒にいたい」と思ってお付き合いをしたりする。
 別れが見えていても。
 
貴婦人「今また新しい恋人はいて、すごく好き。でも寂しいから付き合ったのかと聞かれたら、うなずくしかない。単純に素直に好きな気持ちだけじゃない」

高村「今好きだらか、未来は関係ないのは、よくわかります。今好きって気持ちを大事にしたい気持ちもわかりますね」


貴婦人はタバコを消して、にやりと笑った。


貴婦人「今付き合ってる彼氏はクズよ。でも私の寂しさを埋めてくれて、私はそれでも好きなの。でもいずれ別れるわね」


 高村も見えていたので、それも分かった。数ヶ月もしないで、この貴婦人はまた一人になるのだろう。あれ、でも、なんか……

貴婦人「でも今、良い感じの人がいるから、別れたらそっちにスライドするつもりなの」


高村「やっぱり!!! ですよね!!!」
 

 貴婦人はワッハッハ、と笑っていた。


貴婦人「私にとって、今、好きかどうかが重要で、ずっと一緒にいれたら儲けもん。でもそれ以上に、今、自分が幸せで寂しくないかどうかが大事」


 それも高村は、なんだか痛いくらい理解できた。


貴婦人「一緒にいて寂しいなら、次にさっさと行った方がいいし、一緒にいて寂しさを埋めたいのに、一緒にいて寂しいなら、もうその恋は終わりね」


 帰り際の貴婦人に、高村は聞いた。

高村「その好きが、愛とかに変わって、一生のものにはならなかったんですか?」

 貴婦人は「あなた(高村)、幸せ?」

 突然の質問に面食らってしまいましたが、「ええ? 幸せ……少なくとも、あんまり不幸だと思ったことはないですね。苦しい時はあっても」と答えたような気がする。
(やっぱり忘れっぽいな〜)


貴婦人「あなたね、自分を愛しているから、寂しくないのよ。私もそうなの。だから別に、恋人や夫との別れはそれはそれで良いのよ。私の寂しいは、それとは別だから」


 話を聞いてくれてありがとうと言って、貴婦人は去って行った。
 その背中に私は「あと、三回は結婚できそうですね!」と声をかけたら、

貴婦人「じゃあ、倍は結婚してやるわ」

 と言って、もう二度とその貴婦人とは会わなかった。


 あの当時で、貴婦人は一体年齢はいくつくらいだっただろうか。

 もうそれこそ人生の大先輩だろう。

 
自分を愛しているから寂しくない。

けど、それとは別の寂しさを埋めたいから、今好きだと思う人との出会いを大切にするし、それが出来なくなった時はすぐにスライドする。

 
 じゃあ、別の寂しさってなんだろう。
 私、高村は今、人生の分岐点に立たされていて、恋愛の悩みをする暇が全くないのである。

 でもどうにも疲れて、寝てなくて、食事もままらない時に友人に、

高村「恋人が欲しい。でも誠実なお付き合いが出来る環境にない(忙しすぎて)。なんていうのか、寝る前の五分で良いから、味方が欲しい。サブスク彼氏とかおかんが欲しい。」

友人「それ、現代社会において、めっちゃ需要ありそう。むしろそっちで起業したら」

高村「いや、これ以上忙しくしたくないねん……恋愛は全くしたくないねん」

友人「それ、疲れてるだけじゃん」


 そうなのである。

 疲れていたり、何か得体の知れない不安に襲われているだけで、別に寂しくもなんともないのだ。

 
 もう出会えないなんて思わないで欲しい。
 多分、高村もいつか出会える。今は全く恋愛する気はないけど。
(あれ、さらっと恋人がいないことを書いてしまった。まあいっか。)


 どうして人は年齢問わず、もう二度と出会いがないと思いがちなんだろうか。

 かと思えば、人生で六回も結婚離婚をしている人もいる。

 
 その人をたまらなく、たまらなく好きな意味はなんだろう。
 意味なんてなくて、ただ好きなのだろうか。

だとしたらその無償の愛に近いものは、そんなにもあなたを苦しめるものなのだろうか。


 説教くさくなってしまうけど、高村は必ず言うことがある。

「あなたが美味しいリンゴを買ってきて相手に渡したら、相手が皮を剥いて切ってくれて「一緒に食べよう」と言って、二人で食べるのが愛情じゃないだろうか」

 
 その根底には。

 あなた自身があなたを好きじゃないと難しくって、
 相手があなたのそんな優しさに、嬉しそうに笑ってリンゴを剥いてくれて、一緒に美味しいね、と食べてくれると良いんじゃないかと思う。

 リンゴは言葉だったり行動だったり誠実さだったりするのかもしれない。たった5分の寝る前の電話かもしれない。誰かから聞かされた、相手やあなたの素敵な話かもしれない。

 
 私はこの貴婦人の、「寂しいから恋をするのよ」という、あっけらかんとしたところが、とても好ましく思えた。

 でも自分のことをちゃんと愛しているから、根底では本当の意味ではこの貴婦人は寂しくないのだ。
 だから好きだった人との別れを、全て乗り越えて来たのだ。

 あなたには良いところも寂しいところもずるいところもあって、それは相手も同じだ。
 
 でも忘れないでほしい。

世界で一番あなたを愛しているのはあなた自身で、恋人は、そんなあなたの味方であるのだ。その時間を繰り返していつか、愛情になっていくのかもしれない。

あなたは世界で一番自分を愛している相手の味方でいる必要がある。相手があなたの味方なのだから。

それが出来ない人とは一緒にいるべきじゃないし、誰も幸せになれない。


 愛とか意味とかは後付けで良いじゃない。


 世界で一番、自分自身を愛している人が、自分の味方になってくれる人に出会うのは、全然、本当に全然、難しくないのだ。

 ただ一歩、前に出るだけだ。


 自分を愛してあげることと、そんな自分の味方になってくれる人に出会うために、一歩、前に足を進めるだけで良い。


 もう二度と好きな人や恋人なんて現れないと思わないでほしい。


あなたの味方という名の、あなたの恋の相手が、世界中であなたが外に出てくるのを待っているのだ。

 あなたの幸せはあなたしか叶えられない。


 でも、あなたの買ってきた美味しそうなリンゴを喜んで受け取ってくれて、皮を剥いて、切って、一緒に食べようと言ってくれる人は、たくさんいるのだ。

 でも、たくさんはいらないんだよね。

たった一人に出会いたいんだよね。

でもさ、今、あなたは一人、出会ってるわけじゃない?

あなたの買ったリンゴを剥いて食べてくれる人が、いるでしょう。

 鏡の前に立って、よく見て。

 絶対に出会えるんだよ。

 最後かもしれないなんて思う必要はなくて、

これからたくさん良いことが起きるんだ、出会えるんだって


なに疑わずに信じていれば良い。

あなたはとっても素敵な人だって。

だから少し行動するだけで、世界が変わるって。


 私の出会った貴婦人は、そのリンゴを買いに行っていたのだと思う。楽しい気持ちで。本当は寂しくなくて。

 今、好きだと思える人とリンゴを食べるために。

 
 あなたもそう思って、明日はリンゴを買いに行ってほしい。

 私はパイナップルが好きだから、パイナップルを買いに行くわ。
 私には当分、恋なんて訪れそうにないな、と確信する秀逸なオチである。

 落語かよ。

 リンゴよりパイナップルが好きなんだもの。

 でもそんなパイナップルが好きな私が私は好きだがら、そんな私と一緒にパイナップルの皮を……いや、それは相手に負担が大きすぎる。メロンくらいにしておこう。メロンは高いから、相手に買ってもらえたらラッキーだな。

 いや待って、そうしたら相手に負担しかないな。

 ……バナナとかが良いかも。お互い楽だし、負担も少ないし。

 うーん。いつか絶対に出会えると思うけど、私はまだ一人で十分な気がする。

 でもそれもまた、いつか出会う人との楽しみってことで。


 
 


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