W3Cのよく似た名前の "Advisory"が付く2つの内部組織
W3Cにはややこしいことに、よく似た名前の"Advisory"が付く内部組織が2つあります。今回は、これらの組織名の日本語訳をどうするのかという話です。
Advisory Committee
Advisory Board
なお、このnoteは、2020年9月15日時点の"W3C Process Document"を基に述べており、和訳したものを"W3C手続き文書"で公開しています。2021年11月2日に新しいヴァージョンが公開されています。
また、実際にW3Cの方を取材するなどしたのではなく、"W3C Process Document"に書かれている内容を基に書いています。
それぞれの組織の概要
"W3C Process Document"によると、それぞれの組織の概要は次のとおりです。
Advisory Committee
各会員の代表者1名ずつで構成
勧告を最終的に審査し発行するといったW3Cの決定を行う機関
Advisory Board
"Advisory Committee"で選ばれた10名程度の委員で構成
例えば法的問題など、技術的でない問題を扱う
どうも、"Advisory Committee"より"Advisory Board"の方が小さな組織で、"Advisory Board"の委員は"Advisory Committee"によって選ばれるので、"Advisory Board"の方が下位組織といった感じでしょうか。
さて、私が和訳した"W3C手続き文書"では、"Advisory Committee"には「諮問委員会」、"Advisory Board"には「諮問会議」という日本語を当てました。委員会の方が大きいのか、会議の方が大きい組織なのかは、人によって感じ方が違うかもしれませんが、会議より委員会の方が上位組織のように感じられるので結構しっくりくるのではないでしょうか。もしかすると私だけかもしれませんが。
もう1つのややこしい名前の内部組織
W3Cには、もう1つ、ややこしい名前の内部組織"Technical Architecture Group"があります。こちらは"Advisory"が付いている訳ではないのですが、W3Cの公式な日本語文書に「技術諮問委員会」とあり、こちらも『諮問委員会』が付いています。そして、"W3C Process Document"によると、この組織の概要は次のとおりで"Advisory Board"と似ています。
Technical Architecture Group
ディレクターやAdvisory Committeeで選ばれた10名程度の委員で構成
ウェブの技術的な問題を扱う
『諮問』だらけにしてしまった
結果として、日本語訳では、諮問委員会、諮問会議、技術諮問委員会という具合に、『諮問』の付く組織名だらけにしてしまいました。
こういった固有名詞の日本語訳は非常に難しいなと感じているところです。