W3C勧告のたどる道(いらなくなったのニュアンスの違い)
MathML仕様書はW3C勧告ですが、W3C勧告が勧告後にたどる道は、何があるのでしょうか。
勧告後の状態
"W3C Process Document"によると、次の4つの状態があるそうです。
An Amended Recommendation
A Superseded Recommendation
An Obsolete Recommendation
Rescinded Recommendation
なお、2020年9月15日時点の"W3C Process Document"について述べています。2021年11月2日に新しいヴァージョンが公開されています。
ふさわしい日本語訳は何か
さて、『これらの状態にふさわしい日本語訳は何か』というのが今回のテーマです。
1番目の"Amended"は、「修正された」とか「改訂された」という意味です。ただし、"W3C Process Document"では、別に"revised"(改訂された)という言葉も出てくるので、"Amended"は「修正された」の方がふさわしいかと思われます。
問題は残りの3つです。
2番目の"Superseded"は「不要になった」、3番目の"Obsolete"は「古くなった」、4番目の"Rescinded"は「廃止された」という意味です。単に日本語に訳すとどれも「いらなくなった」という意味合いですが、英語だと微妙にニュアンスが違うはずです。そうでないと区別されません。
では、どういった日本語訳を当てたら良いかというと、単語の意味だけでは良い訳が思い付かないです。そこで、それぞれの熟語の説明の本文を読んで、その違いを確認し、説明の内容にしっくりくる日本語を考えたいと思います。もちらん、筆者個人の感覚の部分もありますので、しっくりこないかもしれませんが。
説明の内容は次のとおりです。
2 A Superseded Recommendation
(W3Cが新しく採用するように推奨している, より新しいヴァージョンによって置き換えられた仕様書)
とあります。そうすると、「置き換えられた」という部分を前面に押し出すのが良さそうです。
3 An Obsolete Recommendation
(実装するための推奨を継続する十分な市場性を欠いているとW3Cが判断した)
とあります。そうすると、現在は市場性を欠いているということですので、「旧式」といった日本語が合っているように思われます。
4 Rescinded Recommendation
(W3Cがもはや支持しておらず, 絶対に勧告の状態に戻される見込みがないと考えている勧告全体)
とあります。そうすると、「廃止」という強い言い方が良さそうです。
勧告後の状態にふさわしい日本語
以上を踏まえ、勧告後の状態にふさわしい、次の日本語を考えてみました。
An Amended Recommendation → 修正勧告
A Superseded Recommendation → 置換済勧告
An Obsolete Recommendation → 旧式勧告
Rescinded Recommendation → 廃止勧告
筆者個人の感覚の部分があるのは否めませんが、いかがでしょうか。
今回の状態にふさわしい日本語を考える中で、『単語の意味を見るだけでなく、説明の内容も見ながら日本語訳を考えることも大事だな』と感じたところです。
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