年末の東京
年末の東京、なんか好きなんだよなあ。
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去年も一昨年も、年末は東京に行った。余計でも忙しなくなる師走、大都会のその鼓動が聞こえてくるみたいに、なんだかよくわからないけど大晦日に向かってガヤガヤ、ザワザワ、してる感じ。
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12月には東京だけにある音があって、東京だからこそ聞こえてくるんだと思う。ひとりひとりの小さな師走が何重にも重なって超音波の振動のように静かに、でも確実に空気を震わせる熱っぽさを、冷たい東の風が冷やして心地よい。
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毎日がお祭りのような超密度の馬鹿デカイ街が、ヒトもモノも景色も営みも一層の特別感を醸し出しているからこそ、感じるものなんだと思う。だから、お祭りごとやイベントが大好きな体感したがり野郎の僕にはめちゃくちゃビンビンくるものがある。1年中続いた大祭りが終わりに近づいて人々が我に返っていくような、今年もありがとう、お疲れ様っていう、ついに終わるぞという解放の高揚感と心地よい労いの連帯感。
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文化祭が終わる直前や、花火大会のオーラスに近づいていっているような感覚にも近い。いろいろあったけど、何はともあれ年末だ、年越しを迎えられてよかったね、来年もよろしくねって街全体が言っている。その場にいる全員に向けて否応なしに。
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その感じは、海外のお祭りに訳もわからず参加してとにかく周りの外国人みんなが誰かれ構わず盛り上がっている輪の中の謎にハッピーで楽しい感じ。とりあえずやったぜ。そのときに、ちょっとこの街に住んでみたかったなという青臭い思い出がぶり返してきて、季節と相まって妙に切ない。
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だから、今年も行きたかったんだが、どうにもちょうどいい連休が取れず、年明けの東京はもう既に超スピードで春の準備が始まっている気がして、焦るんだよ、1月の東京は。