メコン川の岸辺 ~手紙~
『メコン川の岸辺』 ~手紙~
今、ゲストハウスにあるテラスから、目の前のあるメコン川、そして向こうにあるラオスを見ながらこれを書いている。ここチェンセーンでは時間がゆっくりと流れているようであり、バンコクとはあきらかに1日の流れ方がちがう。
夜は早く、8時頃になるとメインストリートには人気がなくなり、まるで深夜のような静けさが漂う。夜中の東京、ちょうど上野のはずれあたりを深夜に歩いているような静けさだった。
そんなチェーンセンのおいてもメコン川沿いにある道の一角においては比較的夜遅くまでにぎわっている。チェーンセンのメインストリートはまっすぐ歩くとメコン川にぶつかる。
そしてメコン川沿いに幅8mほどの道路が走っている。この通りにはときおりゴールデントライアングルへ向かうソンクラー、2人乗りしたバイクがたまに通りすぎるといった静かな通りである。
この通り沿いに夕方5時くらいになると、ちょこちょこ屋台があらわれはじめ、200~300mの道にほぼ等間隔にて何台かの屋台が店支たくを始める。
そしてこの道路には2mほどの歩道があるのだが、ここにゴザを敷き小さなテーブルを置く。どうも客はこのゴザの上にあぐらをかき、飲んだり食べたりするようだった。
客は夕暮れときには、すぐとなりにあるメコン川、そしてその向こうにあるラオスを見ながら楽しみ、そして夜になったら満点の星空を眺めながら飲食をすることになる。
川沿いの護岸はコンクリートや石などで整備されており、草むらなどが存在しないため夏の天敵である蚊に悩まされることもない。すごく快適な気分だ。この場所は外国からの観光目当てである客が少なく、タイ人の憩いの場所になっているようである。
みんな車でやってきて道路沿いに停め、そしてカーステレオから民謡のような音楽をかけはじめる。
この音楽が一帯にながれはじめる。この風景を遠くから眺めると、どこか日本の花見に似ていた。但し、日本のような下品さはなく、そこには落ち着いた、そして少しロマンチックは空気がながれていた。
各テーブルには夜になるとローソクをともし、これがまた雰囲気を良くしていた。