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19.アンダルシアのヒマワリの木

 スペイン・アンダルシアの小さな村に、不思議な「ヒマワリの木」がある。
 ヒマワリは一年草の草本だから、夏が過ぎれば、完全に枯れてしまう。
 ところが、この地で代々農業を営むセサール・グティエレスさん(71)のヒマワリ畑には、決して枯れることなく、毎年夏が来るとヒマワリの花を咲かす「ヒマワリの木」が植わっている。
「樹齢でいったら、15年くらいだね」
 グティエレスさんは、首をすくめた。
「全く、わけがわからないよ。茎が木質化して――ほとんど、木の幹のようになっている。そして、地中海の短い冬が終わると、すぐに若葉をつけて、夏には無数の花を咲かすのさ」
 地元では、「ジラソル・ミステリオーソ」と呼ばれる、この不思議なヒマワリ。
 国立マドリッド大学のハモン・オルトネダ教授によると、厳密には、このヒマワリはやはり木ではなく、異様に冬に強い、宿根化したヒマワリであるという。どうしてそんなヒマワリができたのかは、誰にもわからない。

これがヒマワリの木だ!(2024年 著者撮影)

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