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【車中泊旅2024夏7/2~】8/23 Day53:西伊豆、まずは千貫門、烏帽子山、くじら館、松崎町。車中泊は西伊豆町海水浴場

不安定なお天気続きですが、天気待ちばかりもしていられません。今日は時々は雨も止むようなので動く事にしました。

しばらくお世話になった下田をいよいよ後にして、伊豆半島南部を東側から西側に横断し西伊豆観光は「千貫門」観光からスタート。千貫門と向かいの烏帽子山を見学して下山したら、もう雨が降ってきました。急いでくじら館にたどり着いた頃には土砂降り。時刻は朝10時ですが、観光は一旦中止。

松崎町まで移動して、マックスバリューのイートインでお弁当を食べながら雨宿りしました。松崎町では歴史のある街並み観光という、雨が降っても楽しめる観光があったので傘をさしつつ観光しました。

さて、夕方。最初は松崎町の無料駐車場に停車しようと考えていましたが、最終的には隣町の西伊豆町海水浴場の無料駐車場にしました。その辺りのお話も少し。


〇千貫門の大迫力

伊豆半島ジオパークのサイトにはこのような紹介文が書かれています。

火山の地下には地下深くからマグマが通ってくるマグマの通り道があります。このマグマの通り道が地殻変動などで隆起して地表に姿を現したものを「火山の根」と呼んでいます。千貫門(せんがんもん)はこの「火山の根」の一部で、巨大な岩の中央部には波の浸食によりできた海食洞が「門」を形作っています。

この解説を読んでから、「火山の根」という地球のダイナミックな営みを実際に目の前にして、興奮を禁じえませんでした。こんな巨大な重量のある物が深く地中から隆起してきたというその事実。そして目の前に見える発達した巨大な柱状節理。物凄い自然の力を感じます。こういうのを目の前にすると圧倒的な自然という強大な力の中で、ちっちゃく短く生きている自分という、そのサイズ感を毎回認識します。

その認識は、時にはくだならい悩みを吹き飛ばし、時には萌芽した虚栄を吹き飛ばし、満足感とも虚無感とも言える不思議な感覚になります。だからジオサイトが好きなのでしょうか?わかりませんが、今回も圧倒的な迫力にいつもの感覚を覚えました。

千貫門は千貫門海岸遊歩道口から遊歩道に入ります。車は遊歩道入口から10mくらい離れた民宿大漁さんの駐車場を使わせてもらいました。1時間以内の停車で600円支払いました。500m、歩いて10分くらいの雲見海岸には無料の駐車場もあります。遊歩道に入ると5分間の割と急な上り道で丘の上に出て、そこから千貫門が目の前にある石の浜辺まで下れます。

遊歩道は細い道ですが歩きやすく整備されているので、サンダルでも問題ありませんでした。ヒールだと最後の石の浜辺がやっかいだと思います。

遊歩道を歩くと見えてくる千貫門
振り返ると烏帽子山も見えてくる
大迫力の美しさが曇天で伝わらないのが悔しい

千貫門の周囲の海は透明度が高く、とても美しいエメラルドグリーンの海水です。晴れていれば、そうとうフォトジェニックな写真が撮影できる事でしょう。我々が訪れた日は曇り。写真では難しかったですが肉眼ではとても美しく見えました。

〇烏帽子山に登ってみた

千貫門のあるビーチからもそびえて見える烏帽子山もジオサイトです。駐車場は神社参拝者専用として1台だけ駐車できるスペースがありました。烏帽子山には山全体をご神体とする浅間神社があります。下の方に拝殿があり、限りなく頂上に近い場所に本殿があります。ですから山頂の展望台を目指す事イコール参拝でもあるので駐車場を使わせて頂きました。

烏帽子さんは標高164mです。駐車場から拝殿まで130段、拝殿から途中まで320段、その後、山道の急坂を10分登って本殿に到達し、本殿の裏手の階段を10段ほど上ると3人がぎりぎり立てるかというスペースの展望台に上がれます。

左手には先ほど訪れた千貫門とビーチが眼下に見えます。「火山の根」という表現はここから見ると納得がいくパノラマ世界が楽しめます。右手には眼下に美しい雲見海岸をみつつ、晴れていれば富士山、遠くは南アルプスまで見えるそうですが、今日は遠くは真っ白に曇って何も見えませんでした。

展望台に立っているとポツポツと雨が降り始めました。ここ数日、ゲリラ豪雨のようなケースもありました。あの急で古くて段差が定まらない石の階段をゲリラ豪雨の中歩くのは危険すぎます。ということで、大急ぎで下ってきました。車に乗り込んだ途端にざーっと本降り。いやー、ぎりぎりでした。危なかった。

〇今のうちです「雲見くじら館」

大雨のなか向かったのは雲見海岸にある「雲見くじら館」。1977年に雲見海岸に迷い込んだ若いオスのセミクジラ。自らの重さに耐えきれずに命を落してしまったこのクジラの遺体を、和歌山県太地町からクジラ解体のプロを呼んで解体してもらい、骨を標本として飾っている展示館です。

日本全国で展示されているクジラの骨と違って、漂白もされずに年月を経ている骨は自らの脂で古木のような飴色に艶々と輝いた標本になっていました。実際に触れられるクジラの標本というのも、おそらく全国でここだけだという事です。

長年、この町で標本館を続けていましたが、ホルマリン漬けにしたクジラの一部のホルマリン量が減ってきたり、骨もメンテナンスが適切にできないなどの理由から、静岡県が建設予定の「海洋・地球総合ミュージアム」(現状2027年オープン予)にひきとってもらう事になったらしいです。

間近に漂白されていないクジラの骨を見て触れる「くじら館」。閉館までのカウントダウンはもう始まっているとの事なので、チャンスがある方は今のうちに雲見海岸に行ってください!

〇松崎町の古い町並み観光

大雨の「くじら館」を後にして向かったのは松崎待ち。ランチタイムにもなったのでスーパーマーケットで夜の買い物の下見をしつつ、お弁当を買ってイートインコーナーでランチとしました。

多少、雨が弱まってきたので町の観光案内所に駐車して、傘をさしながら周囲を観光する事にしました。

松崎町は「なまこ壁」が数多く現存する事で有名な町だそうです。なまこ壁は日本全国で見られた外壁の様式の名前です。外壁に平らな瓦を貼り付け目地に漆喰をかまぼこ型に盛り上げて塗る技法。盛り上がったかまぼこ型の漆喰が海の生物「なまこ」のようなので「なまこ壁」と呼ばれているそうです。

松崎待ちの観光案内所のある通りは「なまこ壁通り」と呼ばれ、何軒かおきになまこ壁の家が見られます。

また明治時代の呉服商の家が展示館として公開されている場所「中瀬邸」も雨の日の観光スポットとして最適な場所でした。

時代劇に出てくるような帳場や呉服店のたたずまいを今に残す展示は、なかなか面白かったです。こちらの家の入口に飾られているコテ絵にも関心しました。コテ絵は漆喰を用いてコテで作り上げるレリーフ。私のイメージではヨーロッパの建物の外壁を飾るレリーフに比べると、日本のコテ絵は少しシャープさにかける野暮ったいイメージがありました。

ところが中瀬邸の入口の扉のコテ絵の龍はシャープそのもの。こんなにキレのあるコテ絵は初めて見ました。この作品を作ったのが松崎町出身の左官職人、長八なんだそうです。おそらく生来の天才肌に加えて、江戸に出てからは狩野派から絵を学び、彫刻も学んでますます腕に磨きをかけていったそうです。今回は訪れませんでしたが、松崎町には長八美術館もあります。いつか行ってみたいなぁ。

更に更に。松崎町は様々な映画のロケ地でもあるようです。「世界の中心で愛を叫ぶ」(山田孝之、綾瀬はるか主演)、「とんび」(佐藤健主演)、「夏の方程式」(福山雅治主演)。有名俳優さんが目白押しの作品ばかりです。松崎町を訪れるなら、作品を見てから行くとより楽しいだろうなと思いました。

雨の伊豆。ジオサイト目当てで動いていたのです、松崎町の文化資産はあまり注目していませんでしが、知ってびっくりです。

〇停車場探索で西伊豆町海水浴場の駐車場に決定した経緯

最初は松崎町の漁港奥にある駐車場に停車しようと考えていました。近所のさつま揚げ屋さんに聞いて、誰でも無料で駐車できている事も確認。トイレがある事も確認しました。

しかし気になるのが、「関係者以外は出入り禁止です」という看板を通り過ぎた先にこのスペースがある事。砂利敷きである事。今日は大雨で足元も悪いので、できれば舗装された駐車場がいい。

ということで、もう少し探してみると隣町の西伊豆町海水浴場にも無料駐車場がありトイレ設備もある事がわかりました。地図上で確認すると、私の大好きなスーパーマーケット「あおき」の裏手で、駐車場は舗装された土地のようです。これはいい。ということでこちらの駐車場に停車する事にしました。

〇大好きなスーパーマーケット「あおき」で出会ったワインに触発されて

夕飯は駐車場の近くのスーパーマーケット「あおき」へ買い出し。そこでシチリア産のヴェルメンティーノというブドウを使った白ワインを発見しました。これ安くて美味しいんですよね。このワインを見た途端に今夜のメニューは以下に決定。
―「チーズ、パンチェッタ、オリーブ」詰め合わせ
―赤背ムロアジの刺身
―マグロのカマも焼くこと決定

松崎町のさつま揚げ専門店で買ったコーンさつま揚げ

イタリアンおつまみの詰め合わせで始まったワイン飲み。地物の赤背ムロアジは初めて食べましたが美味しさに二人ともノックアウトされました。

これがめちゃくちゃ美味しかった。伊東港水揚げの赤背ムロアジ
マグロのカマ

マグロのカマが焼けるのに時間がかかりすぎたNGはありましたが、おおむね美味しくて満足な夕飯でした。

こんなロケーションで夕飯、車中泊ならではの特権ですね。

明日はまた悪天候。西伊豆町周辺で作業をする事にしましょう。

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