“ネタ系音楽事典” (第一夜) オアシスとエディット・ピアフ 〜辞書コラム
友人から借りっぱなしの本が面白い。
タイトルは、「荒唐無稽音楽事典(高木壮太著/焚書舎)」。
50音順に書かれたミュージシャンと音楽用語の解説だけど、ブラックユーモアと個人的偏見いっぱいで笑ってしまう。
信憑性より解説センスの妙だ。
たとえばこんな感じ。
★【小野洋子】(人物)
ビートルズからギタリストを引き抜き、自身のバックバンドに加入させた巨乳の前衛芸術家。
★【フリッパーズ・ギター】(バンド)
暴走族の天敵である。
★【蛍の光】(楽曲)
どんなに盛り上がっているディスコでも、日本人ならこの曲が流れたとたんピタリとダンスを止め家に帰る。集団催眠の傑作である。
★【山田耕筰】(人物)
偉い音楽家とだけ思っていたのだが、「カルピス」を命名したり、小型消防オートバイを開発したり横尾忠則に家を売ったりと意外なエピソードが多数ある。
というわけで、この本の中からお気に入りのオモシロ解釈を、第一夜と第二夜に分けて紹介しよう。
第一夜はこのふたつ。
(音楽ジャンルに節操がないのは、あくまでオモシロ解釈の紹介だから)
●【オアシス】 UKロックバンド
★★ハルカcomment★★
オアシスといえば今、2025年夏に再結成というホットな話題で持ちきりだ。どうせまたダメでしょとか落胆の声もあるけれど、正式発表されたんだから期待は大きい。
何しろ全世界で評判の兄弟ゲンカバンドだ。その確執で2009年に解散している。
オアシスはビートルズを彷彿させる60〜70年代っぽいゴリゴリの正統派ロック。音や曲の安定感は絶大だし、ヴォーカルのリアムの声は超絶魅力。不安定要素はこのリアム(弟)とリードギター・ノエル(兄)の兄弟ゲンカ、いやこれも恒例だから、むしろ安定なのかな。
かつてタンバリン事件というのもあった。
94年にロスのライブでリアムがノエルの頭をタンバリンでぶん殴る乱闘が起き、ノエルがバンドを一時脱退するにまで至った。このケンカの一部始終は、「Definitely Maybe DVD」ボーナスディスクで見られるんだとか。
それはそうと『荒唐無稽音楽事典』には、「タンバリン」という項目もある。
ジョン・レノンが「お前のタンバリンがひどいせいでおれの人生台無しだ」と逆上し、それもビートルズ解散の一因だと書かれている。本当か???
とにかく、タンバリンはバンドに災いをもたらすことがあるようだ。
かわいい小粋な楽器と侮ってはいけない。
それはさておき、
再結成のニュースが流れたおかげで改めてオアシスを聴いてみた。
意識して聴くとやっぱりいいな。
ちょっとじんときた。
▲YouTube:Oasisチャンネルより引用
Don't Look Back In Anger (Remastered)
(What's The Story) Morning Glory? 収録曲
▲YouTube:Oasisチャンネルより引用
Whatever (Official Video)
●【エディット・ピアフ】 シャンソン歌手
★★ハルカcomment★★
シャンソンで初めて衝撃を受けたのは、ダミアの『暗い日曜日』だった。
20歳の頃、輸入レコード屋の店長から「聴くと自殺したくなる危険な曲がある」と教えられたのがきっかけだ。死にたい気分にはならなかったが、陰鬱で絶望的な曲想と震える美声の虜になった。
これを機に、この輸入レコード屋でシャンソンを手当たり次第聴きまくった。あれもこれもとオススメしまくる店長と共に、「シャンソンは愛やな」という結論に辿り着く。
愛と言えば、エディット・ピアフだ。
『愛の賛歌』や『バラ色の人生』が有名だけど、私は『パダン・パダン』が一番好き。
ピアフの刹那的で破壊的で情熱的な人生が、歌の中で永遠に廻り続けているようである。
ピアフの訃報にショック死したコクトーは、パダン・パダンという運命の足音に誘われたのだろうか。
そんなこんなで今でもシャンソンは好んで聴いている。
自然なBGMとして部屋に充満させ、掃除や料理の生活音に紛れさせると、私のエセ・フレンチ魂が燃え上がる。
▲YouTube:Edith Piaf Officielチャンネルより引用
エディット・ピアフ「パダン・パダン」
▲YouTube:Chansons, Folklore et Variétéチャンネルより引用
ダミア「Sombre dimanche(暗い日曜日)」
今宵はここまで。ありがとうございました。
第二夜「大滝詠一とチェット・ベイカー」に続く
▼こちらは記事中で紹介した『荒唐無稽音楽事典』(2014年/焚書舎)に約100項目が補強・加筆修正された完全版である。